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記事中ではVRの可能性や問題点について、さらに議論しました。あなたが考えるVRやARの「正しい活用法」は? 没入感の高まりに伴い、どのような問題が起こりそうでしょうか?。社会の中で使われているVRやARの将来像を、コメント欄に自由に書き込んでください。

 各業界をよく知る第一線のゲストに話を聞きながら、今後、その業界がどう変わっていくかを探る連載「入山章栄・安田洋祐の業界未来図鑑」。第2回シリーズ(File 2)ではVRの活用に力を入れている独コンサルティング会社、ローランド・ベルガー日本法人の長島聡社長と、複数人が同時に接続できるVR空間を開発・提供するスタートアップ企業、シナモン代表取締役の武樋恒氏をゲストに招き、VR(仮想現実)についてざっくばらんな議論を展開中。

 今回の議題は前回に引き続き「VR業界の未来」。VR業界発展のために乗り越えるべき壁や解決すべき課題について語り合った。視覚中心のVRが将来的には触覚、味覚、嗅覚などにも広がり、没入感は一層高まると予想される。安全性にも留意した製品や制度の設計が不可欠であるという意見で一致した。

(取材・編集=小林佳代、動画・写真=寺尾豊)

入山:ここまで、VR(仮想現実)の良い点、可能性を論じていただきましたが、ここからはリスクとかチャレンジ、課題などをお聞きしていきたいと思います。

安田:そうですね。読者の方から健康面の問題について質問をいただいていますのでこれからいきましょう。インフラ企業でIT担当課長を務めていらっしゃる前さん。「双眼タイプのゴーグルは健康上問題がないのか」という質問です。

入山:VRゴーグルを長時間つけっぱなしにした時など、健康を害するのではないかということですね。大人もそうですが、特にお子さんへの弊害を心配する方は多いと思います。

<span class="fontBold">武樋恒(たけひ・わたる)</span><BR>シナモン代表取締役<br />1987年新潟県長岡市生まれ。2010年明治大学経営学部卒業。大手メーカー系SIer営業、ベンチャー企業でのWebマーケティングコンサル、個人での海外ビジネス立ち上げ、コミュニケーションロボット開発などを経験。2016年にVR領域で起業、Synamonを設立し代表に就任。VR空間上でのコラボレーションベースシステム「NEUTRANS」の開発、提供に注力している。
武樋恒(たけひ・わたる)
シナモン代表取締役
1987年新潟県長岡市生まれ。2010年明治大学経営学部卒業。大手メーカー系SIer営業、ベンチャー企業でのWebマーケティングコンサル、個人での海外ビジネス立ち上げ、コミュニケーションロボット開発などを経験。2016年にVR領域で起業、Synamonを設立し代表に就任。VR空間上でのコラボレーションベースシステム「NEUTRANS」の開発、提供に注力している。

安田:僕も子供の頃、ゲーム少年でしたけど、ゴーグルなんてつけず、ふつうにテレビのモニター画面で遊んでいるだけでも没入感がありましたからね。子供ってはまりやすいというところがある。この辺、医学的に言われていることとかありますか。

武樋:VRは50年以上前から研究されていると説明しましたけれど、昔は「斜視になった」という事例があったそうです。今は逆に「視力が回復した」とか「斜視が治った」という事例がどんどん出てきています。視力回復のための運動で、視点を合わせる動作がありますが、VRは疑似的にそういう動作をするので。

長島:視力っていうのは、目の筋肉をどう使うかとか、水晶をどう使うかで変わってきます。正しい使い方になるようにVR側で絵を見せる。それに従うと目の使い方がうまくなるということがあります。

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