
危険な作業をVRでトレーニング
武樋:VRが使われ始めた50年前にはNASA(米航空宇宙局)などの航空宇宙分野、軍事分野に使われていました。
入山:え、VRって50年前から使われていたんですか。
武樋:ええ、研究で使われ始めていました。なぜかというと、宇宙は体験できないからです。戦争もそう。そういう体験できないものもVRでなら体験できます。
今は製造業や建築業の安全研修や高所での作業トレーニングに使ったりしています。実際に落ちたら死んでしまいますからVRの中で体験するわけです。
安田:ソフトウエアもハードウエアも進歩しているので、現実に近い形でトレーニングができるようになっているのですね。
武樋:そうです。製造業のお客様は機材のトレーニングに使ったりもします。製造業の機材は数千万円しますから。使用を失敗すれば、最悪の場合、人命にもかかわりますし。
入山:そうか。実際、製造業は何年に1回かは工場で痛ましい事故が起こっていますからね。VRはそれを防ぐことができる。
武樋:そのためのトレーニングができます。実際の機材では壊しながらトレーニングすることはできませんけど、VRなら巻き戻したり、やり直したりができます。
安田:リアルだとトレーニング自体にコストもかかるし、傷を負ったり、壊したりというリスクがあります。そのリスクに備えられるメリットが大きいということですね。
長島:工作機械などの場合、購入してから納入されるまでに時間がかかります。その間にVRで使い方を身につけて慣れておけば、新しい工作機械が入ったらすぐにフル稼働させることができます。
安田:購入するかどうかの意思決定にも使えそうです。従来の工程が、新しい工作機械を導入した場合にはこう変わるというのをシミュレーションできる。複数のチームで仮想体験ができるというのも大きいですね。