入山:なるほど。ではAR、VRについて理解したところで、ちょっとデータを見てみましょう。

 これはIDCジャパンが調べた世界のAR・VR関連市場見通しです。2017年時点で世界のAR・VR関連市場は140億ドルだった。それが2022年で1223億ドルに伸びるという予想になっています。そのうち、日本は33億ドルぐらい。消費者(12億ドル)以上に流通・サービス(10億ドル)、製造・資源(9億ドル)などビジネスの分野でAR、VRが使われるだろうという予想です。

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安田:そうですね。2017年は消費者向けのビジネスが中心ですが、それからの5年間でビジネス関連の市場が一気に拡大するという見立てになっていますね。

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入山:読者の方からも、それに関連する質問が来ています。どちらかの会社で海外営業副部長代理補佐を務めているヨハンさん。「VRというと、フライトシミュレーターなどの高度な習熟の求められる現場的職業に活用されていると聞きますが、どこまで裾野が広がっているのか知りたいです」と。

 いかがでしょう。日本でも世界でもいいのですが、「VRは今ここまできている」というのをぜひ。

VRが浸透したらもうサボれない

長島:そうですね、マニュアルが存在し、現場があるビジネスの領域では、「どこかで使い始めている」「トライが始まっている」という状況といえると思います。製造業もそうだし物流倉庫、店舗などもそうです。

 よくあるのはEラーニング。読者の方が書いているフライトシミュレーターもまさに当てはまります。VRの中で学習するとより効果的と思う方が増えてきています。

 細かいことですが、VRって目線も確認できます。受講者がどこを向いているのかもトラッキングできる。「きちんと3個のメーターを見てから操作したか」とか。

入山:ああ、そうか。研修の時などに「これとこれとこれを見る」と指さしで確認するよう教えたりしますが、そういう動きもセンサーなどでとらえられる。

長島:はい、マニュアルで読んだことが頭に入っているかを行動で確認できます。

入山:なるほど。いよいよごまかしがきかなくなるというわけですね。

長島:ええ。もうサボれません(笑)

安田:それをチェックするのも遠隔からコストをかけずにできますね。頭の中で理解しているだけでなく、きちんと体で行動できるかという。

長島:どちらかというと、能動的にこれを使ってより習熟度を早く上げたいという人が増えるといいですね。

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