
VRとARは一緒なの?
入山:では続いてARとVRの違いについても教えていただきたい。AR技術を使った代表的なサービスといえば「ポケモンGO」がありますけど……。そもそもARとVRとの違いはどう理解すればいいでしょうか。
武樋:最終的には一緒になると思っています。
入山:あ、一緒なの。
武樋:というか、要素技術にもなるので、最終的には融合していきます。ARは現実の拡張なので、リアルな空間の中にデジタルなものが加わります。ARは現実を基準にしながらもデジタルな世界に入り込む。VRは逆に言うとすべてがデジタル。
入山:ARは現実がベースで、そこに夢とか別の世界のものが加わる。VRは夢がベースでそれを現実だと思い込む。そんなところですか。
長島:話をややこしくすると(笑)、現実のコピーをVRの世界に持ってくる。それに夢を足していくっていうことも自在にできます。
入山:それはVR?AR?
長島:VRの中のARですね。
安田:そういう視点に立つと、VRの中でARもできるからVRの方が広い概念ということになりますね。
武樋:そうです。
長島:やれないことはないんですけれどね。音などはかなりできるようになっています。
安田:現実から減らすということに関して思いついたんですけど、今、プライバシーの問題ってすごく大きくなっていますよね。モニターに映ったものから必要なものだけを取り出してあとのものを削除する。現実を減らす。そういうこともビジネスになりそうです。現実から増やすARには我々もだいぶなじんできたので。

大阪大学経済学部准教授
2002年東京大学経済学部卒業。2007年米プリンストン大学で経済学博士号取得。政策研究大学院大学助教授を経て2014年4月から現職。専門はゲーム理論。共著書に『経済学で出る数字:高校数学からきちんと攻める』(日本評論社)、『日本の難題をかたづけよう』(光文社新書)、編著書に『学校選択制のデザイン ゲーム理論アプローチ』(NTT出版)などがある。
入山章栄(いりやま・あきえ:右)
早稲田大学ビジネススクール准教授
1996年慶応義塾大学経済学部卒業。98年同大学院修了。2008年米ピッツバーグ大経営大学院で博士号取得。米ニューヨーク州立大学バッファロー校助教授を経て2013年から現職。著書に『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』(日経BP社)などがある。
入山:そうだね。今、ここにもペットボトルがありますけど、そういうのも映像の中では削るとかね。
長島:テレビでは青い背景で人を撮って、本当はそこにはいないけど風景に加えるといったこともやっていますよね。ああいうのもAR、VRの世界観の手法ですね。
安田:既に結構使われているんですね。