
仮想空間の方が親しくなるハードルは低い
入山:バーチャルの方が、コミュニケーションのハードルが低くなる可能性があるっていうのはすごく面白いですね。
安田:使ってみてよく分かりました。VRの世界に入って30秒で童心に返りましたから。ふだん部屋の中にボールが転がってたって、使って遊ぼうとしませんよ。
入山:ローランド・ベルガーの社長と大阪大学の准教授がボールを奪い合うって、よく考えるとおかしい状態(笑)。
武樋:「楽しい」っていうのがすごく重要だと思っています。会議って、「つらい」とか「つまらない」という思いがつきまとうものだと思いますが、VRだとそれが軽減される。上司との面談なんかもそうですね。気が重い。
入山:武樋さん率いるシナモンがVRの技術を会議などに活用しようとしているのは、「楽しくしたい」という意図があるのですか。
武樋:それもあります。VRという新しい技術を使って、コミュニケーションを新しい形に変えていきたいと思っています。
入山:確かに心理的なハードルがぐっと下がります。長島さんもそういう意識でローランド・ベルガーのコンサルティングにVRを取り込んでいるのですか。
世界を自由自在に操作できる!
長島:そうです。それから3次元の世界を会議室に持ち込めるというメリットも大きいです。色を変えたり拡大、縮小したりができますし。
例えば、中古車展示場に行って100台、200台並んでいるのを見て回るのってすごく大変です。VRなら、飛んで上空から見ることができます。
入山:なるほど。俯瞰して「この辺に好きなクルマがありそう」と確認してから降りることができるんですね。
長島:はい。あとは、赤いクルマだけ集めたりもできます。
入山:そうか。世界を自由自在に操作できる。
武樋:デジタルだからこそできることですね。
入山:リアルではできないことができるんですね。そうか。さっき僕も長島さんも女子のアバターを選んでたしな。完全に何かの願望ですよね(笑)。
バーチャルだからこそできることを生かして会議や面談を楽しくする。グローバル企業のようにコミュニケーションが課題になるような企業にとっては重要な仕掛けになるかもしれませんね。
安田:しかも、つけてみてすぐに良さが分かるというのがいいですね。百聞は一見にしかず。使ってみて良かったです。世界が変わりました。次回は、1月の撮影前に募集した読者の質問も交えながら、VRの有効性や未来について、さらに掘り下げていきます。
●本日の出演者
ローランド・ベルガー代表取締役社長
工学博士
シナモン代表取締役
早稲田大学ビジネススクール准教授
大阪大学経済学部准教授
この記事はシリーズ「入山章栄・安田洋祐の業界未来図鑑」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。