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「背中を一押し」する手段としてゲームは有効

金野徹・バンダイナムコエンターテインメント取締役NE事業部担当兼NE事業部長(以下、金野):今、我々が持つゲームのノウハウをいろいろな分野に提供して、ユーザーがそれを楽しみながらいろいろなことを身に付けることが可能になってきています。

入山:最初のセッションで話していただいた「ゲーム『を』楽しむ」のではなく、「ゲーム『で』楽しむ」ということですよね。

金野:そうです。それについて、我々もいろいろな取り組みをやっています。朝日新聞さんと一緒にロールプレイングで問題解決能力を身に付けるプログラムを開発したり、アステラス製薬さんと運動支援アプリを共同開発したり。自分たちが思っている以上に、我々のゲームをつくる能力やノウハウを評価していただいて、いろいろな業界とコラボレーションさせていただいています。「ゲームの可能性を広げる」というのは我々のミッションの1つです。「ゲーム『で』遊ぶ」ことで、いろいろな場面でお役に立てればという思いで、取り組みに力を入れています。

金野 徹(こんの・とおる)
バンダイナムコエンターテインメント取締役NE事業部担当兼NE事業部長 1995年バンダイ入社。バンダイナムコエンターテインメントNE事業部マーケティングディビジョンディビジョンマネージャーなどを経て2018年4月から現職。(写真:陶山 勉)

安田:教育や健康に関心がないという人はほとんどいないですよね。みんな大切なことだと思っている。でも、頭ではわかっていても、行動が伴わないということが多い。その行動を起こす第一歩として、ゲームの力が使われているということですね。

 経済学では今、「ナッジ(※1)」が注目を集めています。ちょっとした仕掛けによって行動変容を促す。そこにゲームが役立てられ始めていると。

(編集部注※1)「ナッジ」:行動経済学の知見を使い、人々の行動をよりよい方向へと誘導するもの

金野:そうですね。背中を一押しできればという感じですかね。

入山:任天堂が今度「ポケモンスリープ」というゲームを出すんですよ。どういうゲームかはまだ分かっていないんですけれど、恐らくよく寝たらレアキャラが出てくるようなことを考えているんじゃないかなと。日本人はみんな睡眠不足ですからね。それを解決するために睡眠を楽しいものにしようと。そういうことですよね、金野さんが言う「ちょっと背中を押す」って。齊藤さんはゲームの教育や健康などへの応用について、どうお考えですか。

齊藤昌幸・みずほ銀行産業調査部調査役(以下、齊藤):ゲームを健康に役立てるということに関しては、既に「ポケモンGO」が一役買ったのかなと思いますね。

齊藤昌幸(さいとう・まさゆき)
みずほ銀行産業調査部調査役 2010年にみずほ銀行入行。みずほ証券アドバイザリー第六部、みずほ銀行東京法人営業部などを経て、2019年から現職。ゲームのほか、アニメなどのコンテンツ産業や広告などのメディア業界を担当する。(写真:陶山 勉)

入山:あ、確かにそうね。高齢者も歩きましたもんね、「ポケモンGO」で。

齊藤:ええ。あと、ちょうどランニングもはやった時期で、スポットを回るために走ったという人も結構いると思うんです。そういう意味でも、非常にいいタイミングでリリースしたなと個人的に思っていました。