実に楽しそうな小沼大地氏(左)と御立尚資氏(右)
実に楽しそうな小沼大地氏(左)と御立尚資氏(右)

コンサルファームに「範囲の経済」は当てはまるか

入山:株式を入れて事業にもかかわっているし、デザインにもかかわっている。ロジックが売りかと思いきや、「大事なのは直感」という。「コンサルファームとは何なのか」というところまできていますね。

編集部:確かに。コンサルって、いったい何屋なんでしょう。

入山:何屋と定義できないのがコンサルの面白いところじゃないですか。逆に言うと、コンサルという言葉ではまっているだけだとヤバい。はまらないことをやるのが大事。コンサルティングファームと呼ばれていたものは、ものすごく変容しないと、これからの時代にはキャッチアップできないということだと思います。御立さんはとてもポジティブな方なので、明るく未来を見せてくれましたけど、逆に言うとそれぐらい変化をしなくては生き残れない。

編集部:こういう変容というのは、学問的なフレームワークで語れますか。

入山:経営学的に言うと、「ダイナミックケイパビリティー」※注3ですね。

※注3:ダイナミックケイパビリティー
変化する環境に対応するために、これまで培ってきたノウハウ、資源、資産などを統合、組み替え、再構成する自己変革能力

編集部:競争環境のポートフォリオが変わる中で、変化しようとしているということですね。コンサルファームに求められるスキルセットが変わるという見方もできます。

安田:BCGもマッキンゼーも、今までは経営戦略構築のロジカルな部分でビジネスをしてきたと思うんですが、その幅を広げていこうとしているし、実際にそのために人材も増やしている。

 経済学的に言うと、コンサルファームがいろいろなタスクを担うようになった時、それぞれに補完性があってシナジーを生み出すことができるのなら、「範囲の経済(economy of scope)」※注4が当てはまるのですが、そう簡単なものではない気がしますね。

※注4:範囲の経済
経営資源を共有・有効活用して事業を多角化したり製品・サービスを多様化したりすることで、より経済的な事業運営が可能になること

手を広げてもやっていけるのか?

 例えばデザインなど感覚的なものは、もともとコンサルでは請け負っていなかった。そこに手を出して、コストだけ増えてパフォーマンスが下がるのならば、手を出さない方がいいということになります。コンサルティングという業務の中で、どれぐらい範囲の経済を追求できるのか、それに合わせた人材を採用できるのかといったところがカギになります。

 場合によっては、コンサルファームはロジカルな部分だけに特化した方がいいのかもしれない。必要な他の機能は自分たちで手掛けずにアウトソースするというのもあり得るんじゃないでしょうか。今のところ、外注路線ではなく、人を増やして自分たちでやってみようという方向に進んでいるように見えるけれど、果たしてそれは本当に正しい経営戦略なのか。それは20年、30年たってみないと分からないですね。

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