安田:引き続きよろしくお願いします。3番目の議題は「これから外資系コンサルティングファームはどうなるのでしょうか」で、未来に向けてのお話をうかがっていきたいと思います。再び私がファシリテーターを務めます。

 最初にまたクエスチョンです。○×棒を持ってください。これから先、戦略コンサルファームのビジネスは拡大するのかどうか。拡大すると思う人は「○」、むしろ縮小すると思う人は「×」を上げていただきます。入山さんも上げてくださいね。いきますよ。では「○」か「×」か、お願いします。どうぞ。

(一同、○×棒を掲示)

安田:御立さんは「○」で拡大していくだろうと。入山さん、「×」ですね。小沼さんは「○」だけどホワイトボードに二極化と書いてありますね。じゃあ、小沼さんから、理由を説明していただけますか。

<span class="fontBold">小沼大地(こぬま・だいち)<br>NPO法人クロスフィールズ共同創業者・代表理事</span><br>2008年一橋大学大学院社会学研究科修了。在学中の2005年から青年海外協力隊に参加し、中東のシリアにて環境教育プロジェクトに従事。2008年マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。2011年NPO法人クロスフィールズを創業。ビジネスパーソンが一定期間、新興国で社会課題の解決を行う「留職」を展開。
小沼大地(こぬま・だいち)
NPO法人クロスフィールズ共同創業者・代表理事

2008年一橋大学大学院社会学研究科修了。在学中の2005年から青年海外協力隊に参加し、中東のシリアにて環境教育プロジェクトに従事。2008年マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。2011年NPO法人クロスフィールズを創業。ビジネスパーソンが一定期間、新興国で社会課題の解決を行う「留職」を展開。

小沼:はい。コンサルファームは機能を変えながらビジネス規模を大きくしていくと思います。戦略だけでなく、ある程度、実行まで行う超高付加価値ビジネスアウトソーシングの組織になっていくのではないかと。既に今も経営企画機能の一部のアウトソースを受ける形でビジネスが広がっていると聞きます。この傾向は今後も続くでしょう。

 二極化と書いたのは、そのモデルの中でも、既存のビジネスをうまく回すだけの経営企画機能の単なる下請けのような活動になってしまう道もあれば、今までやっていたような経営者の参謀として、日本企業の今後の戦略を考えていく道もあるということです。

安田:マッキンゼーでは実際に採用人数も変わってきているのでしょうか。

小沼:僕がマッキンゼーに入社したのは2008年で、この年の新入社員は15人ほどでした。1つ下の代はリーマンショック直後だったので5人ぐらいしか入らなかった。ところが聞くところによれば、今は新卒採用を僕の時代よりも大幅に増やしたらしいです。

マッキンゼーの新卒採用、大幅増

入山:マッキンゼーの新卒採用が大幅増! それは単純にビジネスの規模が大きくなったからなのか、人をかけなくてはいけない仕事が増えてきたからなのか。

小沼:両方と聞いています。コンサルタントではない職能も入ってきています。例えば、ウェブとかプログラミングが得意な人がいたり、戦略の遂行に長けた人がいたり、専門分化してきている。そうしないと業務をカバーできなくなってきているのでしょう。コンサルファームは既にいろいろなことが大きく変わりつつあるのだと思います。?

コンサルの仕事、最後に問われるのは人間性

安田:では、続いて御立さん。「○」を挙げました。前回の議論で、戦略コンサルが未来に価値を提供していけるかについては「?」があるとも指摘されていましたが。

御立:結局のところコンサルの仕事って、最後にものを言うのは人間関係なんですよ。どんなに素晴らしい戦略をつくっても、明日、トランプ大統領が騒いで急激に円高が進めば、その戦略は正解ではなくなるかもしれない。「絶対か」と言われれば絶対ではないんです。そういう中で、「コイツの言うことだから信用しよう」となるかどうかが大事です。

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