入山:というわけで、安田先生、お待たせしました。何も知らずに「×」にしたということでしたが……(笑)。どうでしょう。お2人の話を受けて。「○」に替える……?

安田:いや、このままで。

<span class="fontBold">安田洋祐(やすだ・ようすけ)<br> 大阪大学経済学部准教授</span><br> 2002年東京大学経済学部卒業。2007年米プリンストン大学で経学学博士号取得。政策研究大学院大学助教授を経て2014年4月から現職。専門はゲーム理論。共著書に『経済学で出る数字:高校数学からきちんと攻める』(日本評論社)、『日本の難題をかたづけよう』(光文社新書)、編著書に『学校選択制のデザイン ゲーム理論アプローチ』(NTT出版)などがある。
安田洋祐(やすだ・ようすけ)
大阪大学経済学部准教授

2002年東京大学経済学部卒業。2007年米プリンストン大学で経学学博士号取得。政策研究大学院大学助教授を経て2014年4月から現職。専門はゲーム理論。共著書に『経済学で出る数字:高校数学からきちんと攻める』(日本評論社)、『日本の難題をかたづけよう』(光文社新書)、編著書に『学校選択制のデザイン ゲーム理論アプローチ』(NTT出版)などがある。

入山:おお、さすが(笑)。

安田:いや、僕は絵的なことを考えて、「×」にしているわけじゃないんですよ(笑)。お二人の話をうかがって、確かにコンサルファームはクライアントに対して価値を提供してきたと思います。役に立たないのならクライアントは依頼しないでしょう。役には立っているんです。でも、だからこそ「×」なんです。

 僕が指摘したいのは、コンサルファームがあまりにも質の高いアウトプットを出してしまうがゆえに、日本の企業はコンサル依存になっているんじゃないかということです。企業は本来、基本となる経営戦略とか将来のビジョンは自分たちで考えるべきです。そういうことまで外部のコンサルファームが請け負ってしまうのでは、長期的に日本企業が経営力を失う要因になるのではないか。それが「×」の理由です。

コンサルは経営者の能力を低下させた?

入山:面白い。

御立:いや、でもね、客観的な事実を言うと、日本のGDP(国内総生産)当たりの戦略コンサルタントの人数はオーストラリアの11分の1なんです。ドイツの4分の1。

安田:まだまだ足りないと……。そうなんですか。

御立:日本ではコンサルファームの影響なんて全く大したことないです。だから私、BCGのグローバルの経営会議では本当につらかった。いつもいじめられていました(笑)。

安田:ただ、日本には職業的な経営者がほとんどいないという話がよく出ます。経営者の大部分は生え抜きで、トレーニングを積んだりスキルを身につけたりしないまま、経営を担うことになる。いきなり経営者になればコンサルタントに頼りたくもなるでしょう。そうやって入れたコンサルファームである程度仕事が回ってしまえば、自前で経営者を育てるとか、あるいは外から経営者を雇ってくるといった発想がなかなか生まれてこないんじゃないか。

 個別のプロジェクトで高い価値を提供してきたことはわかります。ただ、日本の経営者の能力とか、経営者層を生み出すマーケットみたいなものを考えると、ちょっと逆の影響を与えたのではないかと感じます。

入山:日本経済全体を見た時にどうなんだ、という話ですね。

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