入山章栄・早稲田大学ビジネススクール准教授(以下、入山):ここからは僕がファシリテーターを務め、ゲストの御立尚資さん、小沼大地さん、経済学者の安田洋祐さんに語り合っていただきましょう。今回の議題は「外資系コンサルティングファームって本当に役に立ってきたんですか?」です。

 マッキンゼーやBCG、ベイン・アンド・カンパニーといった外資系の戦略コンサルファームに仕事を依頼した会社の人に話を聞くと、「すごく役に立った」という人もいれば、「どうだったんだろう」と疑問符をつける人もいる。お二人はどう考えているかを教えていただきたい。

 さて、再び○×棒の登場です。これまでに戦略コンサルティングファームは社会に、あるいはお客さんに十分な価値を提供してきたのか。「○」か「×」かの棒を出してください。あれっ、御立さんは何かホワイトボードに書いてますね(笑)。いいです、いいです。自由にしていただいて。安田さん、外から見た立場で「○」か「×」かを挙げてくださいね。はい、ではお願いします。どうぞ。

御立:私は時系列で変わってきています。ちょっとややこしいですが。

<span class="fontBold">御立尚資(みたち・たかし)<br> BCGシニア・アドバイザー</span><br> 京都大学文学部卒業。米ハーバード大学経営学修士(MBA with High Distinction)。日本航空を経てボストンコンサルティンググループ(BCG)に入社。BCG日本代表、グローバル経営会議メンバー等を歴任。京都大学・早稲田大学の客員教授。複数企業の社外取締役、NPO理事なども務めている。(写真は陶山勉、以下同)
御立尚資(みたち・たかし)
BCGシニア・アドバイザー

京都大学文学部卒業。米ハーバード大学経営学修士(MBA with High Distinction)。日本航空を経てボストンコンサルティンググループ(BCG)に入社。BCG日本代表、グローバル経営会議メンバー等を歴任。京都大学・早稲田大学の客員教授。複数企業の社外取締役、NPO理事なども務めている。(写真は陶山勉、以下同)

入山:お、なるほど。最初のうちは「○」で、途中で「×」になり、また「○」になっているけどちょっと「?」マークもつくという感じですね。小沼さんは「○」、安田さんは「×」と……。

安田:僕、コンサル業界のこと何も知らないんですけれど(笑)。

入山:何も知らないのに「×」か……。一番炎上するヤツだな(笑)。じゃあマッキンゼーを辞めたのに「○」を出した小沼さんから、先に説明してもらいましょう。

小沼:僕はマッキンゼーに入る前、実業の会社に行く友人たちに、「コンサルなんて、紙に戦略を書くだけ。ただのお絵かきだから意味ないよ」と言われたことがあるんです。でも、入ってみたら全くそんなことはなかった。

 確かに上流の戦略のディスカッションをすることは多いんですけれど、僕がかかわったプロジェクトでは、現場にもきっちり入り込んで仕事をしていました。自動車業界の営業改革を担当した時には、末端ディーラーの営業のおじちゃんと飲みに行きましたし、小売店業界の経営改革では八百屋の店頭で野菜の並べ方を学んで、そこから戦略を構築したりもしました。

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