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ユーザーと企業が一緒に新たな商品の開発に挑む「オープン開発会議」。第1弾として、カルビーのポテトチップスの開発を進めてきた。オープンイノベーションの一環として、オープンジャーナリズムを目指す日経ビジネスと手を組み、ユーザーと共に新たなポテトチップスの開発に挑んだ。

コンセプトや具体的な味、パッケージやマーケティングまでーー。読者から集まったコメントは1000件以上。それらのコメントやオンライン上での議論を基に、カルビーは8月5日、新商品「ごほうびチ〜ズ」を発売した。

メディアと組み、不特定多数から意見を聞いたことによる効果はどこにあったのか。これまでの経緯を振り返りながら、開発で得た気づきをまとめた。

8月5日に発売したカルビーポテトチップスの新商品「ごほうびチ〜ズ」。日経ビジネス電子版の読者との議論で生まれた(写真:スタジオキャスパー)

 カルビーは8月5日、ポテトチップスの新商品「ごほうびチ〜ズ味」を発売した。日経ビジネス電子版を「消費者の意見を集め議論する場」として活用し、新商品の開発を進めた。

[参考]
カルビーも驚くポテトチップスのコンセプトは?
Raise発のコンセプトをカルビーが商品化決定

 カルビー側の狙いはこうだ。もともと同社はユーザーからの声をすくい上げて商品開発に生かす手法を取り入れている。例えば主力商品の1つであるスナック菓子「じゃがりこ」では、ファンサイトである「じゃがり校」を運営。ファンがじゃがり校を“受験”し、合格者は3年間、商品を一緒に作る新商品開発プロジェクトに参加できる。顧客視点を取り入れることで、すでに11商品を開発してきた。

 ただし、同サイトはファンの集まり。本誌電子版をプラットフォームとすることで、「当社のファンではない消費者から新鮮な意見が聞けると期待した」。カルビーでポテトチップスを統括する商品1部の鵜飼直樹部長はこう話す。

 カルビーとの共同プロジェクトである「オープン開発会議」では、オンライン上で「コンセプト」「味」「プロモーション」などのアイデアを募集。総計1000件以上のコメントが集まった。編集部がファシリテーター役を務め、候補を絞った上で読者による投票も実施した。オンラインでの議論や投票、カルビーの社内会議によって、コンセプトは「今日の私へのごほうびポテトチップス」に、ターゲットとシーンは「20代女性(有職・独身)、自分用、仕事おわりに家で食べる」に想定。その上で味について議論し、2018年10月末に「チーズベース」に決定した。

[参考]
オープン開発会議 カルビーのポテトチップスをみんなで開発しよう

 並行して、リアルな場で試食や議論をする開発会議のメンバーも募集。約20人がメンバーとなり、3回の開発会議を経て商品を具体化していった。チーズベースを前提に、オンラインで出たアイデアを実際にカルビーが試作し、メンバーとの議論を重ねた。メンバーによる本プロジェクトに対する振り返りは次ページの通りだ。