プログラミング教育の小学校での必修化が、いよいよ1年後に迫っている。3月26日、文部科学省は2020年度から始まる新学習指導要綱に基づく初めての教科書検定結果を公表。算数などの教科書にはプログラミングについての記述が加わった。
政府の産業競争力会議がプログラミング教育の必修化検討を成長戦略に盛り込んだのは2016年。その数年前から、IT企業を中心に将来的な人材不足を憂える声が挙がっていた。それから4年たち、ようやく必修化が始まることになる。
既に諸外国では必修化が始まっている。ハンガリーは2003年、インドは2005年から必修化。英国は2014年、5歳からのプログラミング学習を必修化している。諸外国と比べ「教育面で遅れている」という指摘は少なくない。
学校での公の教育だけを見れば一歩後れを取っているのは事実だろう。しかし、プログラミングスクールを中心とする民間学習塾は2010年代中ごろから急増し、教育を受けた子どもたちが既に活躍し始めている。
日本人がアジアで1位に
3月17日、香港。アジア太平洋地域を中心とした小・中学生向けのアプリ開発コンテスト「AppJamming Summit 2019」の決勝が開かれた。
中国、韓国、インドなど15カ国の代表選手が集まったこの大会で、日本代表の井上将煌くんが小学生部門で第1位、菅野楓さん、晄さん姉妹のチームが中学生部門で第2位を受賞した。

井上さんのアプリは、日本の伝統的な楽器である琴を使って四季折々の曲を演奏できるゲーム。審査員は「リズムゲームを実現するためのプログラムの多さ、またその緻密さに驚いた」とコメントした。菅野さん姉妹は、文字の読めない国のレストランでも注文ができるよう、スマートフォンのカメラで料理のメニューを撮影すると、どんな料理なのか画像を表示して教えてくれるアプリを開発。審査員から「今すぐにでもリリースできるレベルの完成度」と評価された。
会場では「日本のレベルの高さに舌を巻いた」とする声が相次いだ。「日本の子どもたちのトップ層のレベルは世界でもかなり高い」。同コンテストの日本事務局を務めたCA Tech Kidsの上野朝大社長はこう言う。
Raise「子育ての未来」では、「プログラミング教育の在り方」について考えてみたい。
- あなたは小学校でのプログラミング教育必修化に賛成ですか? 反対ですか?
- プログラミング教育における「公」と「民」の役割分担をどう考えますか?
- エンジニアにならなくてもプログラミングを学ぶことに意味はあると思いますか?
などの論点について、読者の皆さんの意見をコメント欄で募集し、議論していく。
次ページからは議論のヒントとして、前出のCA Tech Kidsの上野朝大社長にプログラミング教育必修化の内容や教育の現状について聞いたインタビューを掲載する。2013年から小学生のためのプログラミングスクールを運営する同社は、子ども向け民間プログラミング学習の先駆者的な存在。ただ、上野社長は「2020年から始まる必修化について、文科省の指導要領に異論を唱えたい」と語る。
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小学校でのプログラミング学習が必修化されます。あなたは賛成ですか? 反対ですか? - 4/3-4/4
プログラミング教育における「公」と「民」の役割分担をどう考えますか? - 4/5-4/8
これまでの議論を踏まえて、何歳からどのような形でプログラミング教育をすべきだと考えますか? - 4/9-4/10
エンジニアにならなくてもプログラミングを学ぶ意味はあるでしょうか? - 4/11-12
小学生に限らずこれから日本でプログラミング教育を普及させていくための手立ては?