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 日経ビジネスは、女性の働き方をテーマに、Raise上で議論を展開しています。加えてこの度、取材班を結成し、女性を取り巻く現状とその処方箋を記事としてまとめることにしました。ぜひこのプロセスに、取材チームの一員として加わりませんか。日経ビジネスRaiseにメンターとしてご登場いただいた吉田晴乃氏や坂東眞理子氏に取材予定です。皆さん、一緒に声を上げ、社会を変えていきましょう。次のページからご応募ください。

 

 取材班結成に先立ち、Raiseに参加している学生たちが、日本IBMのダイバーシティ推進担当の社員らを囲み、「ダイバーシティ」をテーマに議論しました。その様子もあわせてお届けします。

日本IBMの梅田恵氏(左から3番目)と加藤あゆみ氏(左から5番目)。学生らと対談した(写真:竹井俊晴)

 1月24日、大学生と日本IBM社員が「ダイバーシティ」をテーマに議論した。イベント開催のきっかけは、2018年7月~12月にかけて、オピニオン・プラットフォーム「日経ビジネスRaise」で展開された議論だ。「『ダイバーシティ社会』には何が必要か?」をテーマに掲げ議論を進めたが、東京大学教養学部1年の北口智章さんから、「そもそも多様性は良いことなのか」という疑問が提示された。「多様性という言葉には本来良い意味も悪い意味もないはず。ダイバーシティを進めるために必要なことを話し合う前に、多様性の意味を考えたいと思った」(北口さん)。

 そこで開催されたのが、ダイバーシティ推進に力を入れる日本IBM社員を招いたイベントだ。梅田恵・人事ダイバーシティー企画部長と加藤あゆみ・事業戦略コンサルタントを招き、北口さんらダイバーシティに関心のある学生6人が参加した。

 北口さんの疑問に対し梅田氏は、「ダイバーシティが本当に意味することは、厳しい世界に放り込まれること」と答えた。「日本でダイバーシティという概念が浸透してきた当初は、弱者救済の意味が強かった。だが真の意味は、多様な意見を取り入れることでイノベーションを起こすこと。3カ月先も予測できないほど変化の激しい時代には、昔のような同質性の高い集団では対応できない」(梅田氏)。

 参加している女性の学生からは、不安の声が上がった。個人の能力が求められる世界になれば、女性であっても実力があれば活躍できる一方で、今まで以上に自分自身でキャリアを描き努力することが必要とされるからだ。慶応義塾大学3年生の秋場玲美さんは「敷かれたレールの外に、新しくレールを敷くことができるようになってきたのは嬉しいこと。でも先が見えない不安は出てくる」と話した。

 その不安に対して、事業戦略コンサルタントの加藤氏は「むしろ、これからは女性の逆襲が始まる」という言葉で返した。仕事を中心とした人生しか描いてこなかった男性に対し、女性は何十年も仕事と私生活の両立に苦心し、自分が納得いく人生は何かを考えてきたからだ。一方で梅田氏は男性の意識の変化も感じるという。「社内で子育てセミナーを開くと、参加者の3割が男性。子育てしやすいかで会社を選び、転職してきた男性社員もいる」(梅田氏)。

 変化の激しい時代では、多様な人材が競争の源泉になる。そこでは性別や国籍、障害の有無などではなく、個人の能力が最大の武器になる。