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2018年に創業100周年を迎え、「くらしアップデート業」への変革を打ち出したパナソニック。変わらなければいけないという津賀一宏社長の焦燥は、日本マイクロソフトの社長などを歴任した「出戻り」の樋口泰行氏(パナソニック コネクテッドソリューションズ社長)に一部託された。出戻って2年半。パナソニックは変わったのか。

■お知らせ■

【日経ビジネス Raise Live】
パナソニック コネクテッドソリューションズ(CNS)社の樋口泰行社長と、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授を招いた対話イベント「日経ビジネス Raise Live」を開催します。樋口氏はパナソニックをどう変えようとしているのか。気鋭の経営学者、入山教授が切り込みます。対談を通じて、日本的大企業を変革し、新しい時代を切り開くためのヒントを読者の皆さんと一緒に探ります。

参加ご希望の方は、記事最後の募集要項をご覧ください。

■開催概要
日経ビジネスRaise Live
~パナソニックはどう変わる?~
■開催日時
2019年11月7日(木) 18:30~
■開催場所
都内(参加者にのみご連絡します)
■参加者募集
応募する
※記事最後の募集要項をご覧ください

樋口泰行(ひぐち・やすゆき)
パナソニック代表取締役 専務執行役員。同社の社内カンパニーであるコネクティッドソリューションズ(CNS)社長。1980年に松下電器産業(現パナソニック)に入社し1991年米ハーバード大学でMBA(経営学修士)を取得。その後、ボストン コンサルティング グループ、アップルコンピュータ(現アップル)などを経て2003年日本ヒューレット・パッカード社長。2005年にダイエー社長として再建を託され2007年にマイクロソフト(現日本マイクロソフト)に転じ社長、会長を経て、2017年4月にパナソニックCNS社社長。2017年6月から現職。(写真:稲垣純也、以下同じ)

2017年に25年ぶりにパナソニックに戻られたわけですが、戻った当初のパナソニックはどんな会社に映りましたか。

樋口泰行氏(パナソニックCNS社長、以下、樋口氏):生え抜きで、1つの会社しか知らない人が大部分を占める中、「変わらなきゃいけない」という危機感はありつつ、なかなか変われない状況でした。これは、パナソニックだけでなく、日本企業全体に共通しますが。

 1つの生態系にずっといると、どんな風にあるべきかという「To Beモデル」がまずデザインできなくなります。多様な人たちが集まっていて、会社の企業風土も風通しが良ければ、客観的に正しい道は見いだせるかもしれないのですが、そのどちらもありませんでした。

着任して、何から変えてきましたか。

樋口氏:前職の日本マイクロソフトでも、ダイエーでも、まったく同じことを繰り返してきているのですが、とにかく正しいカルチャー、正しいマインドを根付かせることを最初にやりました。それがないと、最終的に会社は腐っていきます。ですので、本当に正しいことを正しくやるだけです。

 当たり前ですが、我々の給料は100%、お客様のポケットから出ています。しかし、会社が大きくなったり、ずっとコストセンターに所属していたりすると、給料は天から降ってくると思ってしまう。利益を上げたり、売り上げを増やしたり、顧客満足度を上げたりする本来の仕事以外の仕事に忙殺されて、それに何の疑問も抱かなくなってしまいます。それは極めて不健全なのに、不健全と思わない状態でした。

 給料の源泉はすべてお客様で、お客様に向いて仕事をする。会社の中で消費するそれ以外のエネルギーはすべてムダだと理解し、そのムダをなくす基本動作そのものを根付かせることが必要でした。