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現在の議論のテーマ
今秋、立て続けに日本を襲った巨大台風。地球温暖化で台風の巨大化が指摘される中、誰もが自然災害に備える手だてを考える時期に来ているのかもしれません。必要な情報をどう手に入れ、その情報を多くの人たちでどう共有するか。被災後の対応策も含めて考えてみましょう。
(写真:shutterstock)

 9月の台風15号、10月の台風19号とその後の大雨は、日本各地で多くの犠牲者を出しました。台風19号の上陸から1カ月たった11月13日時点でも、10都県の約2400人が避難所生活を強いられています。農林水産関係だけでも被害額は2500億円を上回ると言われています。

 自然災害が起きるたびに私たちは自然の脅威を改めて実感します。大事なのは日ごろから災害に関して理解を深めておくこと。そのときに参考になるのが、「ハザードマップ」。多くの自治体が提供する、洪水や河川の氾濫の恐れがある地域の地図です。

 ただ、認知度が低いのが実情です。一般社団法人防災ジオラマ推進ネットワークが2019年1月にハザードマップに対する認知度を調べたところ、自分自身が住む地域のハザードマップを「見たことがあり、周辺の災害リスクを理解している」のは17.7%に過ぎませんでした。「知らない」「見たことがない」と答えた人は50.8%。若年層ほど認知度は低く、20歳代では7%しか内容を理解していませんでした。

 ハザードマップをベースにしながら、自然災害を日ごろから考えてみるのはどうでしょう。今回、議論に参加してくれる横浜市立大学の佐藤彰洋特任教授は「被害想定を詳細にシミュレーションして災害に備えるべきだ」と話します。佐藤特任教授は、地図上に様々な情報を重ねられる統計情報可視化システム「MESHSTATS」を開発する地図データの専門家です。

図1 X市の人口総数など
図2 X市の一般世帯数など
図1と図2注)X市の浸水想定深ごとの人口(2015年国勢調査3次メッシュ統計と、国土交通省国土政策局国土情報課提供平成24年度浸水想定区画ポリゴンデータから独自作成した3次メッシュデータを使用して計算した全国の浸水想定深ごとにくらす年齢階級別人口を128万人に縮尺して作成)

 こうしたデータを使いながら被害想定を事前に把握できていれば、適切な避難行動が取りやすくなるだけでなく、被災後も速やかな復旧活動につなげられます。「どのような手順で何をしなければならないのか、ストーリーを紡ぐことが重要」と指摘する佐藤特任教授と一緒に、災害に備えたストーリーを考えましょう。

今回メンターを務める横浜市立大学国際総合科学部特任教授で科学技術振興機構さきがけ研究員の佐藤彰洋氏。地図上に様々な情報を重ねられる統計情報可視化システム「MESHSTATS」の開発に取り組んでいる。

プログラムの進行予定

 お題は以下のように進んでいきます。2週間にわたって、皆さんの意見を募集します。

11月15日(金): 自宅や学校など自分が関わる場所の災害に関する情報を把握していますか。
11月19日(火): X市では浸水する可能がある地域に○世帯あります。これらの世帯の人たちに事前に浸水リスクを伝えるにはどうしたらいいと思いますか。
11月21日(木): X市には避難に時間を要する高齢者や乳幼児を抱えた世帯も約○世帯見られます。これらの世帯に対しては、事前にどう災害リスクを伝えればいいでしょうか。
11月25日(月): 被災地での復旧活動について考えましょう。防災担当者は、ボランティアをどう配置するのが効果的だと思いますか。想定できる被害から考えてみてください。
11月27日(水): まとめ。平時、自然災害が起きそうなとき、起きてしまったとき、被災後。それぞれの場面で必要な情報とは結局、何だと思いますか。