「デザイン」という言葉は乱用されている

日本では、組織の体質を変え新規事業を生み出すために、デザイナー的なものの考え方を事業や経営に取り入れる「デザイン思考」「デザイン経営」という言葉もよく聞かれるようになりました。どうすればデザインを経営に生かせるのでしょうか。

イナモト氏:「デザイン」という言葉は誤解され、乱用されていると思います。ただのバズワードになってしまっている。僕自身はあまり「デザイン思考」といった言葉は使いません。

 デザインやクリエーティビティー(創造性)の核となるのは、「見えなかったことを見えるようにすること」、「(できれば)それを新しい方法でやること」、そして「点と点をつなぐこと」だと思います。

 例えば、Inamoto&Co.が顧客企業で実施するオリジナルのワークショップがあるのですが、そこではできるだけ多くの部署を交えて、できるだけ役職者と若手が交じり合うように工夫しています。Inamoto&Co.が協力したユニクロの買い物アシスタントサービス「UNIQLO IQ」も、このワークショップをやったからこそ生まれたものです。

ワークショップや現場から生まれるアイデアを実際に新規事業に育てられるような、創造的な組織であるためには、日本企業はどこから取り組めばいいのでしょうか。

イナモト氏:日本を駄目にしているのは50歳以上のおじさんたちだと思います。彼らが以下の4つのことをやれれば、企業も国も変わっていくと思います。

 第1に、年功序列をなくして若い人の力を生かすこと。第2に、男尊女卑を改め、女性が仕事か家庭のどちらかを選ばざるを得ない状況をなくすこと。第3に、英語を学ぶこと。ペラペラに話せる必要はありませんが、コミュニケーションは取れたほうがいい。最後は、物事を決めること。間違っていてもいいので、決断して失敗を繰り返すことです。

 どれも実行するのにお金は要りません。文化を変えるのは簡単ではありませんが、決して不可能ではないと思います。