デザインとは関係性

三輪愛氏(ミニストップ):また別の観点で言うと、例えば、お菓子を陳列したときに、どうしたら手に取りやすくなるかを考えることも、デザインだと思います。しかし、ある場合にうまくいったデザインが、別の局面ではうまくいかないこともあります。

永井氏:やはりデザインは関係性なんですよね。手に取りやすいというのは、その手に取る人と物との関係性の話になるので、どちらかが変われば、関係性は変わります。そのため、常にその時々の関係性の中で最適解を見いだしていくことが必要です。それが、デザイン的な態度だと思います。

 お菓子を例に考えると、お菓子を手に取る人との関係性だけではなく、もしかしたら、そこを通り過ぎる人にもお菓子を手に取ってほしいと思うのなら、通り過ぎる人との関係性も考慮しないといけません。その都度その都度、お菓子にまつわる人をどのように想定して、その関係性の中でどのように最適解を見いだしていくか、それがデザイン的な思考です。

中小企業にこそ、デザイン経営を

矢島進二氏(日本デザイン振興会):宣言の中にCDO(デザイン責任者)の設置の提案がありました。CDO設置についてはどう考えますか。

永井氏:デザインカルチャーがトップも含めて社内に浸透していれば、必ずしもCDOというポジションはいらないのかもしれないですね。スティーブ・ジョブズみたいな人がいれば、それで十分でしょう。ただ、どうしてもデザインを狭義に捉えたり、軽んじたり、その可能性をしっかり見いだせないという問題意識があるのなら、経営陣の中にCDOのようなポジションを置くことは大切だと思います。

 宣言は主に大企業を想定していますが、経営にデザインを取り入れるインパクトは中小企業の方が大きいと思っています。もちろん、中小企業ではデザイナーを社員として採用することが難しい場合もあるでしょう。その場合には、外部のデザイナーと一緒に仕事をしていくのも有効だと思います。本当は、宣言にもそう盛り込みたかったのですが、議論が紛糾して時間が残されていなかった……。

 本当は、大企業か中小企業か、BtoBかBtoCか、といった具合に、企業規模や分野によってデザインの効き方は微妙に違うと思っています。ですので、もう少し丁寧に分解して語らないと、分かりにくいかもしれませんね。あの研究会自体は終わってしまいましたが、もう一段、ブレークダウンしたものがつくれるといいのではないかと、個人的には考えています。

佐藤敏明氏(NEC):デザイン経営というと、経営トップだけの話にも聞こえてしまいますが、重要なのはエンジニアやセールスマン、広報担当など、現場も含めてセンスを磨いていくことが大切ですよね。

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