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イノベーションを活性化するために欠かせないとされる「デザイン経営」。最近注目されていますが、そもそも「デザイン」を「経営に生かす」とはどのようなことでしょうか?記事下のコメント欄に、皆さんのご意見をお聞かせください。

 イノベーションを活性化するために欠かせない要素として「デザイン」が注目されている。昨年には経済産業省・特許庁が「『デザイン経営』宣言」という提言を発表。デザインの視点を経営に生かすことの重要性を指摘した。

 しかし、そもそも「デザイン経営」とは何? これから何を学べばいいのか? デザイナーと一般のビジネスパーソンの距離はまだまだ遠い。「デザイン経営」を理解し広めていくためには、事例を一つひとつ取り上げて議論し、自分たちが実践できる方法を模索していくことが必要だ。

 こうした問題意識から日経ビジネスは、イノベーション支援などを手掛けるロフトワーク(東京都渋谷区)やGood Design Award(グッドデザイン賞)などを主催している日本デザイン振興会などの協力の下、Raiseのオープン編集会議プロジェクトで「デザイン経営を考える」を開始した。

 2月4日、ロフトワークで開催したキックオフ会議では「なぜ今、デザイン経営が必要か」「そもそもデザインとは何か」を議論した。以下ではその議論の様子の一端を紹介する。

※オープン編集会議とは

 読者の声をアクションに繋ぐ「日経ビジネスRaise(レイズ)」を活用し、日経ビジネスが取材を含む編集プロセスにユーザーの意見を取り入れながら記事を作っていくプロジェクト。一部の取材に同行する「オープン編集会議メンバー」も公募。Raiseユーザー、オープン編集会議メンバー、編集部が協力して、日経ビジネス本誌の特集などを作っていく。

 2018年5月、経済産業省・特許庁が「『デザイン経営』宣言」という政策提言を発表した。「日本は人口・労働力の減少局面を迎え、世界のメイン市場としての地位を失った」という書き出しで始まるこの提言は、成熟した国内外の市場で生き残るため、企業が唯一無二のブランド価値を育て、顧客の本当のニーズをとらえてイノベーションを起こす必要性を説く。そのための有力な手法が「デザイン経営」だというわけだ。

 しかし、「デザイン経営」が具体的に何を指し、どのように優れているのか、提言の内容だけではなかなか理解しにくい。そもそも、「デザイン」という言葉のイメージ自体、デザイナーとビジネスパーソン、もしくはデザイナーの中でも様々な捉え方があるようだ。オープン編集会議「デザイン経営を考える」のキックオフイベントでも、「そもそもデザイン経営とは何か?」という問いが投げかけられた。

経営者の目を「質」の側面に向ける

 「そもそもデザイン経営とは何なのか、端的に説明してほしい」と、画像検査装置やオフィス家具を製造するタカノの鷹野雅央氏は疑問を口にした。デザイン経営を今後実践していこうとする立場だが、抽象的な議論がどうにも腑に落ちていなかったという。工学とデザインの領域にまたがって活躍し、「『デザイン経営』宣言」をまとめたチームの一員でもあるデザインエンジニアの田川欣哉氏(Takram代表)は、「デザインの役割は、『質』について考えること」と答えた。