現在の議論のテーマ

長時間労働の見直しなど「働き方改革」がじわじわ広がってきました。ただ改革に終わりはありませんし、一連の改革の先に何が待ち受けるのでしょうか。「働きがいのある会社」。このランキングで首位の企業の取り組みも参考にしながら、まだまだやるべき「改革」、身の回りにある「好例」、ご自身の「実践例」、さらには日本企業はこうあってほしいという「願い」について、意見をお待ちしています。

三村真宗(みむら・まさむね)氏。1993年慶応義塾大学法学部卒、2011年10月から現職(写真:北山宏一)
三村真宗(みむら・まさむね)氏。1993年慶応義塾大学法学部卒、2011年10月から現職(写真:北山宏一)

 働き方を見直す動きが広がっています。長時間労働の是正やテレワーク活用などはその代表例で、副業もさらに広がるかもしれません。しかし一連の改革は「やって当たり前」と冷静に話す企業トップもいます。民間調査で「働きがいのある会社」ランキング(従業員100~999人部門)で2年連続で1位となったコンカーの三村真宗社長。いかに社員のやる気を引き出すか、いかに働きがいを高めるか。改革後の「第2ステージ」に対する意識について、三村氏に聞きました。インタビューをヒントに皆さんの「働き方」や「働きがい」についてのコメントをお待ちしています。

(聞き手は奥平力)

政府の旗振りもあって「働き方改革」は確かに浸透してきました。

三村真宗コンカー社長(以下、三村氏):私自身、実は「働き方改革」を意識したことがないのです。世の中で言われている改革項目は「出来て当然のステージ」にあると思っています。改革に関心が高まるのは良いのですが、まだ第1段階に過ぎない。社員がワクワクしてパフォーマンスを本当に発揮できるような職場づくりこそ本丸であって、改革後には第2段階として「働きがい」の取り組みが控えています。

■働き方改革だけ進めてもワクワクはしない

第2ステージに進めている企業は少ないですね。

三村氏:「衛生要因」という考え方があります。例えば「休憩時間が少ない」「職場が不潔である」といった職場環境のことで、直さないと社員の不満足につながる要因ですね。これらの特徴としては、直すと不満足はなくなるけれど、別に満足にはならない。むしろ「やって当たり前」。給料や賃上げに関しても今まで少なかったのが適正になったという感覚になるだけで、これだけでもってすごくワクワクする人は、ほとんどいません。今、働き方改革で進む「残業を減らしましょう」「有休をフレキシブルに取りましょう」は、私にとっての位置づけは「衛生要因」。そのことで別に、ワクワクはしないと思うのです。