「ここは戸田葬祭場でも最もグレードの高い特別殯館と呼ばれる火葬炉です。特別殯館の会葬者は他人と鉢合わせになることはありません。1日3体のみ受け付けています。静かに時間をかけてお別れをしたい会葬者の方にここをお使いいただいております」

 戸田葬祭場の担当者はこう説明する。

 拾骨する部屋も広々している。つい先ほどに火葬された後の、真っ白な残骨灰が、まだ拾骨台に残されていた。

 このホスピタリティの高さは、公営斎場には見られないものだ。戸田葬祭場では、火葬炉に三種類のグレードを設けている。

 特別殯館の利用料は17万7000円。その下の特別室(全五基)は10万7500円だという。一般の火葬炉(全八基)は5万9000円となっている。

 南部斎場では、市の一律料金1万2000円で火葬してくれるから、官民ではずいぶん価格差がある。

 戸田葬祭場の担当者は明かす。

 「火葬の原価は、燃料やメンテナンス、光熱費、人件費などで一体当たり6万円から7万円ほど。公営のように一律料金ならば、とうてい赤字です。民間火葬場で採算を取っていくには、炉にグレードの差を設けるなど、付加価値を高めてやり繰りしていかなければならないのです」

 確かに横浜市の場合でも、市外の人が利用する際の料金は5万円と、一気に跳ね上がる。公営の火葬場は、住民サービスの一環として税金が投入されている分、安価にできるのだ。

 だが、戸田葬祭場の場合は民間ビジネスとして成立させなければならない。戸田葬祭場では貸し葬儀式場、有料霊安室、有料待合室、散骨用の粉骨サービス、手元供養、飲食店などの様々な付加サービスを加えて、収益を確保しているのが実情だ。そして戸田葬祭場で、新たなる収益源になりつつあるのがペット火葬である。

急成長するペット火葬

 ペット葬は、全国の火葬場で近年、需要を伸ばしている付加価値サービスである。一昔前までは、ペットが死ねば自治体に引き取ってもらうことがせいぜいで、田舎では庭先や裏山に埋めたものだ。

 だが、今やペットは家族同然だ。ここ10年ほどでペット葬の専門業者が次々と出現してきている。ペット葬業者の場合、多くは火葬炉を積んだ軽トラックで回収し、走らせながら火葬する。だが、中には回収したペットの遺体を火葬せずに、山の中に投棄するような悪徳業者も出てきている。その点、人間の火葬場であれば、丁重に荼毘に付してくれるのではという安心感が依頼主にはある。

 戸田葬祭場に併設されているペット火葬場には予備炉を含めて3つの炉があり、人間の火葬炉に勝るとも劣らぬ立派さである。明るく広々とした室内に台座が置かれている。ここで「最後のお別れ」を済ませると、台座ごとエレベーターで地下へと下がっていく。遺体はぐるっとバックヤードに回り込み、そこで火葬される。火葬炉の仕組みは人間とほぼ同じだ。火葬後は再び、台座に戻ってくる。