
骨が溶けないパリは、地下のカタコンベに累々と眠る骨がある
司会:養老先生は近著で『骸骨考』をお出しになりまして、その中で世界中のさまざまなお墓をめぐって紹介をしていますね。
養老:医学などの近代科学はヨーロッパが発祥地ですが、実際に行くと全く違うんですね。私はそれを『骸骨考』という本にしたのですが、身体の扱い方なんて、日本では考えられないようなことをする。装飾がすべて人骨で作られている、ローマの骸骨寺とか、ポルトガルで見た納骨堂も、お骨を納めるのではなく現物を置いて飾りにしていました。
近代になりますと、基本的には個人主義ですから一人一人のお墓です。例えばウィーンの墓地なんか公共墓地になっていて、費用を払って何年契約という形で借りる。亡くなって契約年数が切れますと、新たに募集します。契約を続けることもできるし、遺族が誰もいなければ次の方に切り替える。そうでないとおそらく墓地だらけになっちゃいますので。
司会:契約制の年会費ということですか。日本ではどうでしょう。
鵜飼:お寺さんでさまざまだと思いますけれども、一般的に寺の収入の仕組みとして、年会費を払ってもらってお墓を維持しています。家が絶えて何年かたつと、お寺さんは処分できることになっているのですが、なかなか整理は難しいですね。
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