「多死時代」に突入した日本。今後20年以上に渡って150万人規模の死者数が続く。
遺体や遺骨の「処理」を巡って、いま、“死の現場”では悩ましい問題が起きている。
首都圏の一部の火葬場は混み合い「最長、火葬は10日待ち」状態。
遺体ホテルと呼ばれる霊安室ビジネスが出現し、住民運動が持ち上がっている。
都会の集合住宅では孤独死体が続々と見つかり、スーパーのトイレに遺骨が捨てられる――。
原因は、地方都市の「イエ」や「ムラ」の解体にある。その結果、地方で次々と消える寺院や墓。
地方寺院を食う形で、都市部の寺院が肥大化していく。
都心では数千の遺骨を納める巨大納骨堂の建設ラッシュを迎えている。だが、そこに隠される落とし穴――。
日本を覆い尽くさんばかりの「無葬社会」の現実。
現代日本における死のかたちを通して、供養の意義、宗教の本質に迫る。