「多死時代」に突入した日本。今後20年以上に渡って150万人規模の死者数が続く。
遺体や遺骨の「処理」を巡って、いま、“死の現場”では悩ましい問題が起きている。
首都圏の一部の火葬場は混み合い「最長、火葬は10日待ち」状態。
遺体ホテルと呼ばれる霊安室ビジネスが出現し、住民運動が持ち上がっている。
都会の集合住宅では孤独死体が続々と見つかり、スーパーのトイレに遺骨が捨てられる――。
原因は、地方都市の「イエ」や「ムラ」の解体にある。その結果、地方で次々と消える寺院や墓。
地方寺院を食う形で、都市部の寺院が肥大化していく。
都心では数千の遺骨を納める巨大納骨堂の建設ラッシュを迎えている。だが、そこに隠される落とし穴――。
日本を覆い尽くさんばかりの「無葬社会」の現実。
現代日本における死のかたちを通して、供養の意義、宗教の本質に迫る。
シリーズ
無葬社会――彷徨う遺体 変わる仏教

完結
8回
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お寺やお布施は誰のためにある?
かつてない多死社会を迎えている日本で、葬送はどう変わっていくのか。先月14日、東京・増上寺で行われたシンポジウム「多死社会と葬送」の最終回レポート。人口減少と都市化が進む中で、寺はどんな役割を担っていくのか。
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ビルに骨壺で納めるか散骨か。お墓はどこに行く
かつてない多死社会を迎えている日本で、葬送はどう変わっていくのか。第二回のテーマは「墓」。海外の事情や国内の変化などを語り合った。
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遺体は火葬場へ直行、でも遺骨は手元に置きたい
かつてない多死社会を迎えている日本で、葬送はどう変わっていくのか。2月14日、東京・増上寺で「多死社会と葬送」をテーマにシンポジウムが行われた。養老孟司さんや吉水岳彦さんらが、葬式や墓、寺について語った。
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日本海に浮かぶ「散骨島」に行ってみた
日本で唯一の「散骨島」が日本海に浮かぶ。島根県隠岐群島にあるカズラ島がそれだ。墓を持たず、散骨する人がなぜ増えているのか。カズラ島はいかにして散骨島になったのか。真相を探るべく筆者が散骨島に上陸した。
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寺院も「死者のホテル」を始めた
死を遠ざける都会に訪れる多死社会。民間企業だけでなく、寺院も「死者のホテル」を始めた。誰がどのような場面で使っているのか。筆者が現場を訪れた。そこには、意外な使われ方もあった。
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「死者のホテル」が繁盛する時代
都心では火葬場が不足し、火葬まで10日も待たされる事象が発生するなど「待機遺体」問題が顕在化しつつある。そんな多死社会を迎えたニッポンで新たなビジネスが誕生している。待機遺体を安置する「遺体ホテル」だ。
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世界一の火葬大国ニッポン、カブトムシも荼毘に
「ペット火葬」に「ふるさと火葬」。多死社会に直面する日本で、新たな葬祭サ―ビスが生まれている。民間葬祭を中心に、新たな需要を開拓する火葬場ルポの第2弾。
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「あなたの体が燃やせない」
首都圏の火葬場は混み合い「10日待ち」状態――。今後20年以上に渡って150万人規模の死者数が続く。遺体や遺骨の「処理」を巡り、様々な問題が発生している。火葬場ルポから、日本が直面する「多死社会」に迫る。
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全8回