「ヤンキーの虎」にも様々なタイプがいますが、典型なのが、元々ヤンキーをまとめていたような統率力のある人間です。人を使うのが非常に上手で、リーダーとなる資質があります。彼らがコンビニや携帯電話などのフランチャイジーになり、店舗数をどんどん増やしていくことに成功していったのです。

 豪快なタイプの経営者ばかりではありません。本書において、実際に話を伺った「ヤンキーの虎」の方は実にスマートな印象でした。また、「ヤンキーの虎」たちに経営指導しているコンサルタントにも話を伺いましたが、セミナーにやって来る「ヤンキーの虎」に共通するキーワードは、「事業意欲」「仲間意識」「スポーティ」だと言います。夜の街で豪快にお金を使って遊ぶというよりは、自社の事業を最優先し、社員を大切にし、自身の健康にも気を遣うのだそうです。

 「『ヤンキーの虎』たちは、いくつもの事業を複数、多角的に経営しています。それぞれの事業は新規性がなく、都会に暮らすわれわれから見ると、過小評価されがちなものばかりです。彼らは、MBAが教えるような近代的な経営をしているわけでもありませんし、都会のベンチャー企業のように、インターネットで新しいビジネスを展開し『グローバル企業を目指そう』といった崇高なビジョンやミッションを掲げているわけでもありません。彼らのビジネスモデルは、地縁・血縁を重視しながら、昔からよくある平凡なビジネスを束ねているに過ぎません」

稼げなければ、再生もできない

 藤野さんも、最初は彼らのビジネスを過小評価していたと言います。しかし、全国各地を訪れて、彼らと接しているうちに、「今、このような人たちが、地方経済の担い手となっているのではないか」との想いに至ったそうです。

 現在、「地方創生」が声高に叫ばれていますが、このような地方の現実を都会の人たちは知っているのでしょうか。また、地方の人たちは「ヤンキーの虎」のような人材や能力を地方創生に活かせているのでしょうか。

 都会に暮らす人たちにはもちろん、地方に住み、地方をなんとか再生したいと思っている人たちにも読んでもらいたい。編集者としてそう感じましたが、その想いは藤野さんも一緒でした。

 「結局、稼ぐことができなければ、地方創生も経済再生も実現しません。ヤンキーの虎が、今後、経済に好影響を与えるのか、悪影響を与えるのかは分かりませんが、頑張って地域経済に貢献している人はリスペクトし大切にしたい」と藤野さんは言います。

 本書は地方の現状を分析し伝える本であると同時に、地方で頑張っている人をリスペクトし応援したいという投資家である藤野さんの想いが込められた一冊です。ぜひ、ご一読いただきたいと思います。

次ページ 100年単位の変化を謙虚に語る