日本の着物の創意工夫、欧州が注目

 消費者は製品原価にいくらの利益が乗っているのか、値付けについて敏感に察知するようになっています。米国には、自社で製造・販売する服の原価を、ネットを通じて消費者に公開することで支持を集めている「エバーレーン」というブランドがあります。原価に敏感になった消費者を意識して、ITを組み合わせれば、日本でもエバーレーンのようなビジネスを生み出すことは可能だったはずです。

日本のアパレル産業にとって、未来につながる方向性はあるのでしょうか。

尾原:本書の第4部で、未来につながる、日本の優れた点を列挙しました。もっとそれを再認識するべきでしょう。様々な産業が創意工夫で日本の強みを発信していますが、我が業界は「洋服」だったこともあり、海外が上位、お手本であると思い込んできました。着物を何度も作り直して着続けるとか、そういう日本に古くからある創意工夫に対して、特に欧州の人たちが注目しています。自然との共生を軸とした文化や考え方は、非常に21世紀的で、海外でも広く受け入れられるでしょう。

 主力商品は婦人服なのに、今でもアパレル企業の経営陣はほとんど男性が占めています。だから、例えば女性のエグゼクティブが着たい服が、市場を見回しても、なかなかないのですね。そうしたところから、変えていくことが大事ではないでしょうか。未来は予測するものではなく創るものだ、と若い人には意識してもらいたいのです。

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