半世紀にわたって日米のアパレル、ファッション業界を見続けてきたご意見番・尾原蓉子氏が自らのキャリアの集大成ともいえる「Fashion Business 創造する未来」を出版した。IT(情報技術)活用で先行する米国のアパレル企業の事例をふんだんに盛り込み、日本の業界が陥った不振の構図を浮き彫りにしている。400ページを超える本書に込められているのは、国内業界への警鐘と、次の世代へのエールだ。

(聞き手は杉原淳一)

百貨店のメイシーズからベンチャー企業まで、米国企業などの具体的なエピソードを盛り込みながら、ビジネスモデルを細部まで描いているのが印象的でした。

尾原蓉子氏(以下、尾原):この本を書くにあたっては、過去・現在・未来の大きな流れを踏まえつつ、取り上げる事例をできるだけ具体的にしたいと考えました。「神は細部に宿る」という言葉があります。真剣に考えて何かを成し遂げようとした人たちが、一見すると小さく細かいことに一つ一つ丁寧に取り組み、本質に迫る姿を描きたかったのです。

一般社団法人ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション会長。1962年、東京大学教養学部卒業後、旭化成工業(現・旭化成)へ。67年、フルブライト奨学生として米国に留学。68年に「ファッションビジネス」の概念を日本に初めて紹介した。1999年から2009年まで、財団法人ファッション産業人材育成機構IFIビジネススクール学長。AOKIホールディングス社外取締役なども務める。

日本のアパレル業界がかつてない不振に喘いでいます。この構造問題をどう分析していますか。