南:ビズリーチはいま従業員が650人いますが、その中で以前から知り合いだったという人はほとんどいませんね。1人くらいじゃないかな。
小山:意外です。
南:そういうチームをつくることができたのは、nanapiを立ち上げた古川健介さん、通称けんすうさんのおかげですね。けんすうさんに、「サービスをつくるためにエンジニアを探しているんです。いいエンジニアを知っていたら紹介してくれませんか?」ってお願いしたら、「いや、エンジニアの知り合いっていないですね」って言われてしまったんです(笑)。
小山:知っていそうなのに。
南:「ただ、個人が運営している素晴らしいサービスを3つほどで知っていますんで、調べてその人たちに会いに行ってみたらどうですか」って教えてくれたんです。エンジニアを探したいなら、そうやって自分で調べたり会ったりすることが必要だ、と。実際、そうやって見つけたエンジニアが、ビズリーチの創業メンバーのひとりです。
小山:今、立ち上げから7年で従業員が650人まで増えたということですが、組織が大きくなるにつれて採用はどうやっていったんですか? というのも、『10%起業』の中では、10%の時間を使って起業して、うまくいったらその組織をどう成長させていったらいいか、ということにもページを割いて説明しているんです。
三木谷社長に聞いた「成長する組織の作り方」
南:その点については、楽天の三木谷浩史社長に教わりました。「どんな会社をつくりたいんだ?」って聞かれて、「楽天のような大きな会社です」と答えたら、「だったら、最初の100人は、組織が大きくなったときに上に立つ人、マネージャーの役職につく人を採り続けるんだ」って教えてくれたんです。
小山:それは興味深い話です。楽天のような数千人規模の会社にするつもりだったら、ベンチャーであっても大きな組織でマネージャーができるような人を採用しなさいということですね。
南:ベンチャーって最初はお金が苦しいから、つい20代前半の人とかを採りたがるけれども、それではスケールしない。これは目からウロコでした。
小山:『10%起業』は副業としてベンチャーを始める話でもあります。ロート製薬が副業を認めたことがニュースになっていましたが、すでに数十人が実際に副業を始めたらしいです。
南:優秀な人材を確保するためには、これからは多様な働き方を認めることが重要です。10%起業や草ベンチャーのような例は、今後増えていくでしょうね。

小山:副業には、その経験が本業にもいい影響を与えるというメリットがあります。これはボランティアでもそうです。東日本大震災以降、個人的にボランティアに力を入れていて、今では自分の会社の社員に「時間の15%まではボランティアに使っていいよ」と言っています。専門性を活かした「プロボノ」として活動すると、人から感謝されて、本業でもモチベーションが上がるんです。
南:いいですね。小山さんはどんな活動をされているんですか?
小山:地域おこしですね。今は沖縄に取り組んでいます。沖縄に行って何かをやろうとしたら、現地の人から「むしろ東京でできることをやってほしい」と言われて、それは目からウロコだったんですが、自由が丘に沖縄の雑貨屋さんをオープンすることになりました。
南:すごいじゃないですか。いつの間に!
小山:4月に沖縄でそういう話をして、この8月20日にはオープンです。
南:いいスピード感ですね。全く新しいことに取り組むってすごいことですよ。
小山:10%起業って、個人のレベルでは「人生のR&D(研究・開発)」だと思っています。それまでやったことのないことに取り組むときに使える手法なんです。
南:「人生のR&D」。いい言葉ですね! それ、いただきました(笑)。
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