「忘れえぬ人」とトルストイ

 「忘れえぬ人」はトルストイの小説「アンナ・カレーニナ」のモデルとなった女性ではないかとも言われてきました。それはクラムスコイが「アンナ・カレーニナ」を執筆中だったトルストイの家に滞在し、トルストイの肖像画を描いていたことが知られているからです。

 そのときクラムスコイは、トルストイとはどういう人だろうと話しながら観察して肖像画を描き、一方、トルストイも画家とはこういうものだと観察し、「アンナ・カレーニナ」のなかに画家を登場させています。こうしたことを知ることによって、絵をこれまで以上に楽しむことができると思います。

美貌のひと

 絵画のなかのあの美しいひとは誰か――ベストセラー作家が、気になる名画をわかりやすく解説。絵の奥に潜む人間ドラマを読み解く。