「今後10年間でざっと10倍、年間5兆円の規模になる『忘れられた市場』がある」。
こういう見方がある。その市場とは中小企業向けのWEB関連ビジネス。日本全国の中小企業がホームページを使ってビジネスを伸ばそうとする。それに合わせて集客のためのインターネット広告など関連ビジネスも伸びるという。
なぜ成長すると考えるのか。そもそも中小企業はホームページをどう活かしていけばよいのか。経営者の役割は何か。
WEB関連ビジネス10倍説を唱える、『儲かるホームページ 9つの兵法』の著者、青山裕一氏と縣将貴氏に聞いた。
(聞き手は谷島 宣之=日経BP総研上席研究員)
中小企業向けのWEB関連ビジネスが大きく伸びると見る理由は。
青山 裕一(あおやま ひろかず)氏
株式会社ガーディアン 取締役CEO
1970年、京都の呉服屋の長男として誕生。電子部品メーカーに入り、アジアと欧州でビジネスを経験した後、保険会社に転じる。伝統工芸から先端技術までのモノづくりとリスク管理を学び、IT業界へ。ホームページを制作・運用するための独自開発ツールOWLetを供給する。同ツールを利用する全国の中小企業に保守サービスも提供。
縣 将貴(あがた まさたか)氏
ADlive(アドリヴ)株式会社 代表取締役社長CEO
長崎県出身。営業の強さで知られたIT関連企業に入り、ビジネスパーソンの土台を築く。複数の上場企業で代表取締役や取締役を務め、新規事業の創出や事業再生に関わった後、マーケティング支援と広告ソリューション提供を手掛けるADliveを設立。ランディングページと広告運用に特化したツール『URURERU』(ウルウレル)をガーディアンと共同開発している。
青山: 日本全国に魅力ある中小企業が沢山あります。彼らがビジネスをもっと伸ばし、地方をもっと元気にしていくには、魅力と強みをアピールし、全国、いや、全世界に売っていくことです。中小企業同士の協業も必要でしょう。
魅力の発信、顧客開拓、販売、協業、これらすべてにインターネットを介した情報交換の仕組みであるWEBが役立ちます。
中小企業と大企業の差、地方と都会の差は何かと言えば、立地つまり距離、時間、そしてコストでしょう。WEBの本質は距離も時間もコストも極小にできることです。
WEBを使う代表的なツールがホームページです。野村総研や経済産業省が示すデータによると中小企業のホームページ保有率と従業員1人当たりの平均売上高には正の相関があります。
にもかかわらず中小企業におけるホームページの保有率は3割程度。まだまだ増える余地があるわけです。
また、中小企業の売り上げに占める広告宣伝費の率は0.44パーセントという調査結果があります。企業規模が違うとはいえ、東証一部上場企業の場合、その率は5~10パーセントと言われています。そして今、インターネット広告の比率が高まりつつある。
今後、中小企業においてホームページの保有率も、インターネット広告を含む広告比率も、共に上がっていくでしょう。試算してみたところ、売り上げに対する広告比率が5%になれば、現状のざっと10倍、5兆円超の投資が生まれます。この中に中小企業のWEB関連ビジネスを支援する、ホームページの制作や運用、インターネット広告代理店のビジネスも入ります。
中小企業がWEBを今後もっと使うという見方ですが、ホームページ利用などは20年前から言われています。
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