
日本経済新聞ニューヨーク駐在、編集委員、日経ビジネス編集委員などを経てフリーランス。著書に『最強の投資家バフェット』『不思議の国のM&A』『官報複合体』『米ハフィントン・ポストの衝撃』、訳書に『ランド』『市場の変相』『ビジョナリー・カンパニー4』など。記者時代にドラッカーとコリンズに何度もインタビューし、『知の巨人 ドラッカー自伝』を担当した。
岩崎:いろいろ考えたのですが、シリーズになった作品で『1』を超えた『2』というのは、『1』の批判へのアンサーであり、『1』で足りなかったところ、描ききれなかったところをしっかり描いているものなんです。『ビジョナリー・カンパニー2』の冒頭でも、『1』への批判が紹介されていて、それに応えるものが『2』の内容であると述べているんですね。だから『もしドラ』も『1』で描ききれなかった部分を『2』で描くことがだいじかなと。
牧野:『もしイノ』、僕は非常に面白く読ませていただきました。特に、後半に進んでいくにつれて、甲子園を目指す野球部のマネジメントチームが盛り上がっていくんですよね。
岩崎:ありがとうございます。
牧野:もう一つの感想としては、高校野球の話なのですが、すごく身近に感じながら読めました。(ドラッカーの自宅があった)クレアモントに5年近く住んでいたのでドラッカーのことは身近に感じますし、妻が留学していたドラッカースクールも本の中に出てきて、僕が翻訳した『ビジョナリー・カンパニー4』の著者のジム・コリンズの名前も登場する。まったく他人事とは思えずに読み進めました。

岩崎:牧野さんは、ドラッカーと実際にお会いされて長時間インタビューするという経験をお持ちの数少ない日本人と言えます。経営者の方でドラッカーとお会いされた方は何人もいらっしゃると思いますけど、マスコミの人でドラッカーに直接取材された日本人はあまりいないわけですから。
僕が牧野さんからお聞きしたドラッカーについてのいろいろな話は、『もしイノ』のリアリティにつながっていると思います。やっぱり作家って、自分の経験がないとなかなか書けないものなんです。『もしドラ』が出た後、アクティブに動き回って、いろいろな方にお会いしてお話を聞けたことは本当によかったと思います。
野球が大好きだったドラッカー
牧野:これを読んでいて、『マネーボール』という映画を思い出しました。原作のマイケル・ルイスの作品が好きなので、映画化されると必ず観るのですが、すごく良い映画なんですよ。野球がテーマなんですけど、ホームランを打ったりするシーンは脇役で、裏側の話ばかりなのにすごく面白い。『もしイノ』を読んでいても同じように感じました。こうやってバックオフィスの話を面白く見せるのって、すごく難しいじゃないですか。それをこうやってやられた岩崎さんは尊敬します。
岩崎:いやいや、そんな(照)。
牧野:以前、岩崎さんとお会いしたときにも話題にしましたけど、実はドラッカーって野球とつながりがすごく深いんですよね。
岩崎:そうなんですよね。ヨギ・ベラ(ヤンキース、メッツの名選手)がドラッカーの家の隣に住んでいた話もお聞きしました。
牧野:ドラッカーがよく子どもたちに学校を休ませて、野球の試合を見に行ったという話もありましたね。
岩崎:あと、インディアンズかどこかのユニホームを着ている写真があったり、ワールドシリーズを楽しみに見ていたという話も。
牧野:野球にすごく興味を持っていたらしいんです。ドラッカーがどこかの野球チームのコンサルタントをやっていたら面白いですよね。
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