新型コロナワクチン接種の是非をめぐる議論は、医学に対する米国民の信頼を大きく損なった。医学が政治利用され、両陣営とも自派に都合のよい証拠だけを取り上げたことが科学への不信をふくらませた。保守強硬派のデサンティス・フロリダ州知事は州の医療委員会を立ち上げ、反ワクチン政策などを進める。

 新型コロナウイルス感染症と文化戦争のあおりを受けて米国民の信頼を失ったのは、公立学校ばかりではない。米調査会社ギャラップによると、2021年に公立学校に次いで信頼度を下げたのは医学界だった。22年もその低下傾向は変わらず、医学界以上に信頼度を落としたのは米連邦最高裁と米国大統領だけだった。そして政治は、この事態をさらに悪化させている。

 医学界への信頼低下は今に始まったことではない。1966年には米国民の10人中7人が「医療運営を担う人々」に大きな信頼を寄せていた。しかし2012年にそう答えた人は10人中わずか3人だった。

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