デジタル広告市場を押さえていたメタとグーグルの合計シェアが、8年ぶりに50%を割り込んだ。アマゾンやアップルが広告事業に力を入れ始め、TikTokなどもシェアを拡大しているためだ。今後のカギを握るのは、顧客データとプライバシー規制の動向、そしてデジタル広告市場自体の拡大だ。
デジタル広告市場は数年来、米メタ(旧フェイスブック)と米グーグルの持ち株会社、米アルファベットの2社が支配してきた。だがここにきて米アマゾン・ドット・コム、中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)が運営する動画投稿アプリTikTok(ティックトック)、米マイクロソフト、米アップルなどの攻勢が急速に強まり、両社は独占的な地位を保てなくなっている。
米広告調査会社インサイダー・インテリジェンスの推定によれば、米国の2022年の広告売上高に占めるメタとアルファベットの合計シェアは前年比2.5ポイント減の48.4%。50%を割り込むのは14年以来だ。
両社を合わせたシェアは17年の54.7%をピークに5年連続で減少。24年には43.9%まで縮小すると予想される。世界全体でも、両社の22年の市場シェアは、1ポイント減の49.5%となった。
グーグルの広告責任者ジェリー・ディシュラー氏は本紙(英フィナンシャル・タイムズ)に、新たな参入企業との激しい競争は「激動の広告市場を反映している」と語った。
加えて、米国と欧州の規制当局が、両社に反トラスト法に基づく調査を進めている。例えばグーグルは、自社製品を競合よりも優遇しているとして、追及されている。メタは12月にEU(欧州連合)の当局から、同社のSNS上のクラシファイド広告(個人間売買・求人・不動産などの案内広告)が、競合他社を不公平に扱っている疑いがあると警告を受けた。

アマゾンとアップルが本腰
金利が上昇し、インフレが進む中で、世界中の企業は広告予算を削減しようとしている。にもかかわらず、IT(情報技術)大手は3000億ドル(約40兆円)規模のデジタル広告市場をめぐり、かつてないほど激しいシェア争いを繰り広げている。
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