パンデミックの間に急増した半導体需要が今年に入って落ち込み、多くの半導体メーカーの株価は下落した。しかしロジック半導体とメモリチップでは落ち込み度が異なり、それが生産地、台湾と韓国の違いとなっている。苦闘する韓国のサムスン電子に代わり、台湾のTSMCが半導体売上高の世界1位に躍り出そうだ。

ロジック半導体に強みを持つ台湾TSMCは、市況の落ち込みを逃れてきた(写真=AP/アフロ)
ロジック半導体に強みを持つ台湾TSMCは、市況の落ち込みを逃れてきた(写真=AP/アフロ)

 スマートフォンに奇跡的な高機能をもたらす、魔法のようなコンピューターチップ。しかし技術の専門家からすると、コンピューターチップは人間の創意工夫が生み出した高度な専門性を有する製品であり、それぞれが独自の機能や特性を有している。

 ごく最近まで、半導体企業に投資する人々は、素人の消費者に近い行動をとってきた。手当たり次第に半導体企業の株に資金を注ぎ込めば、利益が魔法のように生み出されると期待したのだ。

 しかし、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)の間に高まった半導体需要が急激に落ち込む今、投資家はしだいに、個々の製品の将来性を見極めようと、目の肥えたオタクのような行動をとり始めている。

 とりわけ、情報処理を得意とする「ロジック」半導体のメーカーと、情報の保存に秀でた「メモリ」チップのメーカーを、投資家は区別している。

 2022年に入って以降、あらゆる半導体の需要が縮小しているが、メモリ市場の冷え込みはロジック市場よりかなり厳しく感じられる。

 この違いが、結果的に世界の半導体の主要生産地である韓国と台湾との間に地理的な差を生んでいる。それは、両地域を代表する半導体企業、韓国サムスン電子と台湾積体電路製造(TSMC)の間の違いでもある。

パンデミック後の需要に差

 世界最大のメモリチップ生産国である韓国の今年8月のメモリ輸出額は、前年同月比23%減の50億ドルにとどまった。対照的に、東シナ海を挟んだ台湾では、ロジック半導体の受託生産企業(ファウンドリー)が好調だ。TSMCの8月の売上高は、同59%増の約70億ドルと、月間売上高としては過去最高を記録した。

 その結果、米調査会社ICインサイツの計算では、世界の半導体売上高ランキングで2位からやや離れた3位に位置するTSMCが、一気にトップに躍り出る可能性が高いという。サムスンを首位の座から降ろし、米国の半導体業界を代表するインテルをも抜き去る。

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