10月16日から開催される共産党大会で、習近平総書記(国家主席)が3期目に入るのが確実視されている。専制政治が長く続くと、改革の後退を止めたり、間違った政策を適切に修正したりする力が働きづらくなる。経済政策に言及せず、共産党イデオロギーの再興などを訴える習氏に、国際社会のさらなる反発が予想される。

中国・国慶節のレセプションに参加した習国家主席(写真=AP/アフロ)
中国・国慶節のレセプションに参加した習国家主席(写真=AP/アフロ)

 中国の習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)は、10月16日から始まる第20回共産党大会において、3期目の総書記および軍トップの中央軍事委員会主席への就任を確実なものにしようとしている。彼は「揺るぎない権力」を手にするわけだが、これは中国そして世界にとって良いことなのだろうか。

 答えはノーである。中国と世界、どちらにとっても危険なことだ。彼が自ら、自分は他に代えられない能力を持った指導者であると示したとしても、危うさは同じだ。

 このままでは、中国国内政治の形骸化が懸念される。諸外国との摩擦はより激しさを増してしまう。

 在任期間は10年あれば十分。一流の指導者も長期間権力を握り続けていると、そのうち堕落してしまう。誰をも寄せ付けない権力を持つ者は、より早く衰える傾向があるのだ。自分が選んだ人々に囲まれ、自分が作り上げた功績を守り続けている専制者は、ますます孤立し、防衛的になり、偏執的にさえなる。

 改革が止まる。意思決定は進まない。間違った政策も修正されない。ゼロコロナ政策がその典型だろう。

任期制を撤廃した習氏

 中国国外に目を転ずれば、長期政権が続いた結果、ウラジーミル・プーチン大統領の力が強権化してしまったロシアがある。中国でも、毛沢東氏が今のロシアと同じような状況を作り上げていた。しかし、理性と常識を持った鄧小平氏という人物がいたからこそ、国家主席のポストに任期制を導入したのである。習氏はこのルールを破ろうとしている。

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