今年のIT関連株の急落は、20年前のドットコム・バブルの崩壊を思い出させる。だが、インターネットが事業に革命をもたらしたことなど、バブルにおける言説にも核となる真実がある。データの価値、ネット接続、働き方、エネルギー、ブロックチェーンの5つの変化は現実に持続するトレンドだ。

米テスラの動向は、エネルギー転換をめぐるトレンドを象徴している(写真=AFP/アフロ)
米テスラの動向は、エネルギー転換をめぐるトレンドを象徴している(写真=AFP/アフロ)

 2000年にドットコム・バブルがはじけた時、多くの投資家は自分たちがそろって愚かだったことに気づき、「俺たちは何を考えていたんだ?」と嘆いた。

 例えば、新興企業ペッツ・ドット・コムは、きちんとした事業計画よりも垂れ耳の犬のマスコット人形で名前を売り、利益も上げていないうちにナスダックに上場できた。とはいえ、1年も持たずに破綻した。

 今日もまた、頭をかきむしっている投資家がいるかもしれない。彼らは、今年に入りナスダック総合株価指数が29%も下落したのを目の当たりにしている。

 また、特別買収目的会社(SPAC)の行き詰まりもしっかりと見ている。SPACは、まだ利益を出しておらず、一貫した事業計画もない会社の上場を可能にする企業だ。ある経験豊富な投資家はSPACについて、「行き過ぎた強気市場が衰える時の最後のあがき」と表現した。

 しかし、最初のドットコム・バブルが崩壊した後、株式投資家は、進む速度を間違えたかもしれないが、進む方向は間違っていなかった。IT(情報技術)起業家のポール・グレアム氏が素晴らしいエッセー「バブルが正しかった点」の中で書いた通りだ。「バブル期には『ニューエコノミー』についてあらゆるたわ言を聞かされたが、それでも、そこには真実の核があった」

 04年に発表されたこのエッセーは、バブルの時に指摘されたことで、正しかった点を10項目挙げている。これらの点は時代の検証を経て、今なお妥当な指摘と言える。

 例えばインターネットは実際、事業に革命をもたらした。米カリフォルニア州を拠点に活動するラフな服装の26歳のオタクが、よいアイデアを思いつき、強力なコネを持つ50歳のスーツ組に技術革新で打ち勝つといった事例は珍しくなかった。そしてグレアム氏は、技術は足し算ではなく掛け算で生産性を高める、と書いていた。

 今回のバブルをめぐる投資家の言葉で正しかった点は何だろうか。

 グレアム氏の今の考えを聞くことができれば面白かったのだが、残念ながら筆者が送ったメールに、まだ返事はもらえていない。

 そこで議論の種として、最新のバブルにおいて指摘されたことで筆者が正しいと考える5つの点を挙げる。これらは投資家や起業家への取材に基づく。読者はきっともっとよい答えや反論を考えてくれることだろう。

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