移民が減ればこうした影響が生じ得るということ自体、不思議な話ではない。10年代に増加した米国の労働人口の70%近くが新規の移民だった。今後20年間の労働人口増は、移民の増加分だけになる可能性が高い。米ピュー・リサーチ・センターは、移民の流入がないと、米国の労働人口は20年の1億6600万人から40年には1億6300万人に減少すると予測する。移民の純増数がパンデミック以前の水準に回復すれば、40年の労働人口は1億7800万人に増加する。
ところがメキシコ国境ばかりに目が向き、この大きな構図が見えにくくなっていた。米連邦準備理事会(FRB)でさえ、21年に議会に2度提出した金融政策報告書のいずれにも、労働市場の逼迫の要因に移民の顕著な減少を挙げなかった。22年2月の報告書でようやく「移民の減少が恐らく労働力供給を制限している」と認めたところだ。
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