物言う株主(アクティビスト)は、企業改革の内容だけでなくその激烈な物言いで注目を集めてきた。しかし近年、活動は増加しているものの過激さが影を潜め、目立たない手法が用いられるようになっている。アクティビズムは長期的には株主価値を高めるため、規制当局による抑制の動きには注意が必要だ。

アックマン氏は空売りをしないと宣言した(写真=ロイター/アフロ)
アックマン氏は空売りをしないと宣言した(写真=ロイター/アフロ)

 物言う株主(アクティビスト)として知られる米著名投資家カール・アイカーン氏は、「我々が彼らに立ち向かう時は、本気で立ち向かうのだ」と自信たっぷりにほえる。同氏は何十年も前から、企業経営者を悩ませる第一人者であり続けてきた。86歳になった今も、経営者を見下すその尊大さはほとんど衰えていない。

 「彼らを愚か者と呼ぶつもりはない。だが、例外は多いとはいえ、彼らはまったくの力不足なのだ」と、同氏は最近、筆者に語った。

 同氏は相変わらず、業績を上げられない経営者を威嚇し続けている。今は、米エネルギー企業サウスウエスト・ガスを相手に戦いの大詰めを迎えているところだ。

 アイカーン氏の不満の種は増え続けている。今年5~6月に、米マクドナルドと米スーパー大手クローガーに取締役の解任を求めていく。問題にしているのは豚の飼育法だ。

 しかしアイカーン氏は、自身が消えゆく種族であるとも考えている。「アクティビズムは死にかけている」と嘆く。

 数字上はそうではない。2022年1~3月期に物言う株主が起こした権利行使活動は73件。投資の助言を行う米ラザード・アセット・マネジメントが14年に記録を取り始めて以降、四半期では最多件数だった。

 5月に入り、英ブルーベル・キャピタル・パートナーズがフランスの素材大手サンゴバンに狙いを定めていることが明らかになった。ブルーベルは21年、やはりフランスの食品大手ダノンのCEO(最高経営責任者)を退任に追い込んで名前を知られるようになった比較的新しいファンドだ。

 それでもアイカーン氏の指摘は的を射ている。アクティビズムは様変わりしているのだ。

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