現在の原油高の原因は基本的に供給不足にある。だが、先物取引の自動化も不均衡を拡大させる一因だ。市場を分析して対応するAIツールは同調行動を生みやすいため、市場の突然の乱高下を招くことがある。投資家や政治家は、取引の自動化が生む不安定さとそれが他市場へ広がる危険性に備える必要がある。

<span class="fontBold">米国のガソリン価格は2014年以来の高値にある</span>(写真=AFP/アフロ)
米国のガソリン価格は2014年以来の高値にある(写真=AFP/アフロ)

 2月上旬、米政府の外交の注意はウクライナと戦争の兆候に向けられていた。それでもジョー・バイデン大統領は時間を捻出し、サウジアラビアのサルマン国王と電話会談を行ってみせた。会談で両首脳は、「エネルギー供給の安定性を確保」すべく互いに努力することを再確認した。

 それも当然だ。原油価格はこのところ、北海ブレント価格もWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)価格も1バレル当たり90ドル(約1万400円)超という7年ぶりの高水準に跳ね上がっている。

 この価格高騰は、すでに高まっているインフレリスクを悪化させる。米国のガソリン小売価格は2014年以来となる1ガロン当たり3.47ドル(1リットル当たり約106円)まで上昇。バイデン大統領にとり政治リスクも高まっている。

 そこで米政府はサルマン国王に電話をすることになったわけだ。米ゴールドマン・サックスのコモディティー調査責任者ジェフ・カリー氏は2月7日、価格を押し上げている要因は原油の供給不足だと指摘した。「30年この仕事をしているが、このような市場は見たことがない。これは化学物質資源危機だ。何もかもが足りない」と同氏は述べた。

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