スキャンダルで窮地に立つジョンソン英首相は、EU離脱後の英国の再建計画に政治生命を賭ける。しかし公表された「レベリングアップ」と呼ばれる地域格差是正計画は、まったく不十分なものだ。地方の生活水準の向上を目標に掲げるが、中央政府から地方への権限移譲が進まなければ実現は難しい。

<span class="fontBold">ジョンソン首相は、レベリングアップに取り組むことで、支持率の回復をねらう</span>(写真=WPA Pool/Getty Image)
ジョンソン首相は、レベリングアップに取り組むことで、支持率の回復をねらう(写真=WPA Pool/Getty Image)

 今、英国のボリス・ジョンソン首相の立場は危ういものになっている。新型コロナ対策で厳格なロックダウン(都市封鎖)が敷かれていた時に、内閣府のオフィスや首相官邸で何度もパーティーが開かれていた問題が発覚したからだ。この1カ月、誕生日ケーキやイタリアワインのプロセッコが振る舞われた宴の場にいたのは誰だったのか、騒ぎが収まらない。警察も捜査に動き出している。

 ある上級官僚が1月31日に公表した調査報告書は、警察の捜査に影響を与える懸念があるとして詳細が伏せられた。だが、詳細を伏せるのは隠蔽ではないかとの声は大きい。

 保守党議員らは事の重大さを分かっていないようだ。ジョンソン首相の進退をめぐる判断を、5月の地方選挙後まで引き延ばそうとしている。

 ジョンソン首相がパーティーをめぐる疑惑から世間の注目をそらそうと懸命になっているのは言うまでもない。2月2日、ジョンソン政権は、欧州連合(EU)離脱後の英国が目指すべき方向性をまとめた待望の白書を発表した。その中で重点が置かれているのが「レベリングアップ(平準化)」と呼ばれる、英国内の地域間格差の是正にむけた施策だ。

 政権に対する評価は、英国にとってきわめて切実な問題に取り組もうとするこの計画の成否で判断されるべきだとジョンソン首相は考えている。それは正しいだろう。だが残念なことに、公表されたプランはまったく不十分なものである。

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