確かに中国の研究者らは、中国が平和を愛する大国であることを外国人が疑うたびに不満を漏らすのが常だ。だがそれだけでなく、外国による侵略と台湾武力統一を並べて語ることを彼らは拒否する義務がある。台湾が将来どうなるかは内政問題であるとの立場を中国は取っている。

 ウクライナと台湾が結びつかないことは、そう語る彼らの口調から一層明らかだった。ウクライナでの紛争を台湾を巡る戦いのような厳粛な問題の先触れとして扱う考えに、心底から侮辱されたと感じている様子だった。

 彼らは、米国にとりロシアは中国ほど重要な相手ではないとの確信を隠そうとしない。ウクライナ攻撃に対して中国がロシアに見返りを与えるだろうという点は確かに彼らも認めるが、それはロシアとの友好関係ゆえというよりも、米国との対決を考えてのことだ。

 中国とロシアの結びつきは、毛沢東とスターリンの時代以来の強さかもしれない。当時の中国にとり、ソビエト連邦は「兄貴分」で、威圧的ながら、なくてはならない保護者だった。だからといって、現在のロシアとの関係が中国にとってかけがえのない重要性を持つわけではない。

 2014年にロシアがウクライナに侵攻した後、中国はお手本のような慎重さを示した。国連安全保障理事会がウクライナ危機について討議した際、自国の領土の統一性を重視する姿勢を維持し、クリミア半島のロシアへの編入を巡る決議案への投票を棄権した。

 中国の高官は、ウクライナにおける緊張の原因は欧米の軍による陰謀と介入にあるとして、ロシアではなく欧米を非難した。それでも中国は、ロシアによるクリミア半島併合を承認せず、以後、ウクライナとの貿易関係を築くべく取り組んだ。

 中国は、ロシアの要人や銀行、企業に対し欧米が14年以降に科した制裁を非難したものの、中国の銀行や企業は総じて制裁破りを試みようとはしなかった。欧米の市場や金融システムへのアクセスを優先した。

 中国は、制裁に苦しむロシアの脆弱性を補うべく、一部の決済について人民元の利便性を高め、ドルへの依存軽減を支援した。とはいえ、そうした方策が中国の資本規制の範囲を超えることはなかった。

 ロシアのエリートは14年当時「非常に甘く」中国の助けを当てにしていた。ロシアのシンクタンク、カーネギー財団モスクワセンターの中国専門家アレクサンドル・ガブエフ氏はこう語る。「だが両国は現在、互いに対して以前より現実的な認識を持つ。それゆえ関係が深まっている」

中国の発展に孤立は不可

 中国国内のソーシャルメディア上で多くのフォロワーを持つ国家主義的な学者の中に、最近のウクライナ紛争を巡り米国が科した制裁は、中国企業が確実に覆すと主張する人々がいる。ロシアの銀行を国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除するという劇的な手段を米国が取ったとしても、中国はロシアと共に代替の決済網を構築してドルの覇権に挑戦するだろう、と彼らは予想する。

 こうした議論に疑いの目を向ける比較的冷静な学者もいる。

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