中国がロシアとの結びつきを強め、ウクライナ危機を台湾武力統一の試金石だと考えているとの見方がある。しかし中国の研究者はそうした見方を否定し、中国にとりロシアはさほど重要な国ではないと指摘する。重要なのは世界との経済的な結びつきを維持することだ、と中国の冷静な学者は分析する。

<span class="fontBold">中国は2014年、クリミア半島のロシア編入を巡る国連安保理決議案の採決に棄権した</span>(写真=TT News Agency/アフロ)
中国は2014年、クリミア半島のロシア編入を巡る国連安保理決議案の採決に棄権した(写真=TT News Agency/アフロ)

 中国とロシアの結びつきは現在、過去70年で最も強くなっている。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席はロシアのウラジーミル・プーチン大統領を「親友」と呼び、2月4日に開幕する北京冬季オリンピックの開会式前に首脳会談を予定する。両首脳は強力な共通の利害を確認するはずだ。

 中国には投資に向ける資金と売るべき技術がある。石油や天然ガスなど天然資源に対する需要は増大する一方だ。片やロシア経済は、苦境にあえいでいるものの、中国経済に足りないものを補うことができる。ロシアの天然資源は、外国海軍に封鎖される危険がある海路ではなくパイプラインや鉄道で、中国に安全に供給できる。

 両首脳は歴史認識でも一致する。共に、米国の疲弊と自信喪失により世界秩序が変わりつつある現状を、西側の民主主義陣営の結束を試し、くさびを打ち込む好機とみる。両国の外交官や宣伝機関は、米国的な機能不全の秩序よりも厳しく統制された秩序のほうが有益だ、と異口同音に伝え広めている。中ロの合同軍事演習も両国の信頼の深まりを示す。

 英国のリズ・トラス外相は1月21日、オーストラリアで演説し、「自由を愛する民主主義諸国」の結束を呼びかけた。その中で同外相は、中国とロシアは足並みをそろえ、「冷戦以来見ることがなかった大胆さ」を見せていると述べた。

「ウクライナと台湾は異なる」

 米ワシントンの評論家らは、ロシアがウクライナで進める軍事的な賭けについて、中国とロシアは共通の利害を見ていると示唆する。ウクライナ危機は米国のジョー・バイデン大統領の決意を試し、同大統領にそれが不足していることを露呈させるというのだ。

 さらに踏み込む論者もいる。ロシアによるウクライナ攻撃がまかり通るのを見た習国家主席が、台湾の武力統一を進めても大丈夫だと考えるかもしれないという。2300万人が暮らし、民主的に統治されている台湾を、中国は自国の一部であると主張している。

 台湾侵攻論者によれば、ウクライナに関して中国をためらわせているのは主にタイミングだという。米国の通信社が最近、匿名の外交官の言葉として、北京オリンピックの期間中は攻撃を控えるよう習国家主席がプーチン大統領に求めたと報じた。在ロシア中国大使館は、この報道は「作り話であり、挑発だ」と非難した。

 これらは重要な問題であるため、筆者はロシアを専門とする中国人研究者らに見解を尋ねてみた。すると彼らは、中国共産党の指導者たちがウクライナへの攻撃を支持するだろうと考えるのは、無知にほかならないと回答した。まして、それを台湾武力統一の試行とみることなどあり得ないというのだ。

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