これまで史上最高値を更新し続けていた米国株市場が22年に入って下落、割高感のあったIT銘柄が売られている。アップルやグーグルなど巨大IT企業の株価下落は限定的だが、ソフトウエア関連の成長銘柄は調整局面に入った。だがデジタル化への需要やプライベート市場の盛り上がりを勘案すると、IT株を「終わった」と捉えるのは時期尚早だ。

<span class="fontBold">21年、米国のIT株は大きく上昇した</span>(写真=AFP/アフロ)
21年、米国のIT株は大きく上昇した(写真=AFP/アフロ)

 2022年がスタートしてから1カ月がたたないうちに、IT(情報技術)株を取り巻く状況は新たな局面に入った。米国の株式市場は長きにわたるIT株の上昇がこれからも続くのか、少しばかり見定めようとしているのかもしれない。

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を背景とするデジタル投資の急増を追い風に、IT株は異様なまでの上昇率を記録した。そのため、この程度の株価調整はいつ起こってもおかしくなかった。

 今回の株価下落はIT市場の中で最も過熱感のあった分野に深刻な打撃を与えている。米エヌビディアや米セールスフォース・ドットコムなど、ここ数年で急速に台頭したIT企業の一部は、その株価が高値から20%以上下落している。だが下落の度合いは銘柄によってまちまちで、この株価下落が短期的な調整にとどまらないものであると判断するのは時期尚早と言えそうだ。

 なぜなら同じIT株であっても、巨大IT企業の株価は下落率が低く、下値が堅い。投資家は好不況にかかわらず、こうした銘柄を持ち続けることが、銀行にお金を預けることと同じだと判断しているようだ。

 米アップル株が21年末に反発したおかげで、アップル、米マイクロソフト、米アルファベット、米アマゾン・ドット・コム、米メタ(旧フェイスブック)の株価は、21年11月初めの水準から少し下落した程度だ。

巨大IT企業の株価は下がらず

 市場の先導役が一握りの銘柄に集中する傾向は、ますます顕著になっている。立法当局や規制当局がこれらの企業の力を低下させるためにいかなる措置を講じても、IT業界の利益に占める大手企業のシェアは今後さらに拡大するという投資家の確信は揺るいでいない。

 だが、その他IT企業の様子は違うようだ。米ナスダック総合株価指数は11月初めにつけた過去最高値から10%下落、グロース株に至ってはさらに大幅に値を下げている。米ベンチャーキャピタル(VC)のベッセマーが作ったBVPナスダック・エマージング・クラウド・インデックスは2カ月間で27%も値下がりした。同指数はクラウドでソフトウエアを提供するSaaS(サーズ)企業の株を中心に58社で構成されている。急成長中であるが、最も割高な銘柄でもある。