バイデン米政権は1年前に好調なスタートを切ったが、目玉法案の審議が民主党内の抵抗で難航している。11月の中間選挙で共和党が議会の多数派となる公算は大きく、バイデン政権に残された時間は少ない。中間選挙で共和党が勝利すれば、次の大統領選挙でトランプ氏の存在が大きくなる。

<span class="fontBold">共和党はトランプ氏に一層頼ることになるかもしれない</span>(写真=AFP/アフロ)
共和党はトランプ氏に一層頼ることになるかもしれない(写真=AFP/アフロ)

 2021年、ジョー・バイデン新大統領が率いる政権は順調に滑り出した。同大統領は、ドナルド・トランプ米大統領(当時)の熱狂的な支持者が連邦議会議事堂を襲撃した直後に就任した。しかし22年は運が逆に傾きそうだ。

 バイデン政権が今どれほどの活力を保持しているにせよ、今年11月の中間選挙の後には消滅しているかもしれない。中間選挙が終われば、次の大統領選挙に向けた選挙戦に実質的に突入する。現時点では、その選挙戦はトランプ氏再任への序曲に見える。

 まず、バイデン大統領の運の衰えから見ていこう。巨額の経済対策(今から思えば巨額に過ぎた)を思い通りに成立させた後、政権は行き詰まった。

 難題が次々と襲いかかってきたのだ。高インフレ(経済対策にも一因がある)、収まらないパンデミック、アフガニスタンからの米軍撤退に伴う混乱、政権の無力さから多数派であるはずの民主党議員に法案への賛成票を投じさせることができないこと、などだ。

支持率はトランプ氏並み

 バイデン大統領の支持率は就任時から25ポイント低下し、トランプ大統領の就任1年後の支持率とさほど変わらない低さとなっている。

 21年12月には、上院の議決のカギを握る民主党議員が「ビルド・バック・ベター法案(より良き再建、BBB法案)」への不支持を表明し、法案の成立は不透明となった。この法案は気候変動対策や社会保障への大型歳出から成る。バイデン政権はこれを目玉の成果にしたいと考えている。

 この苦境は今年11月に予定される中間選挙でさらに悪化するはずだ。中間選挙の後、バイデン政権は恐らく議会で法案を通すのに必要な影響力を失うことになる。

 政権与党は最初の中間選挙で、必ずと言っていいほど敗北を喫する。まして、現在の与党・民主党は上下両院において僅差で過半数を保持しているにすぎず、その立場を維持する可能性はかなり低い。共和党は、下院でわずか5議席増やせば過半数を獲得でき、バイデン大統領が望むすべての法案を否決できる。

 10年の中間選挙でバラク・オバマ大統領(当時)は63議席を失い、「完敗」だったと述べた。18年にはトランプ大統領が35議席を失った。

 バイデン大統領の支持率がもっと高ければ、このような結果を逃れる期待を持てたかもしれない。しかし残念なことに支持率は低い。ブックメーカーの予測では、共和党が下院で勝利する可能性は82%、上院で過半数を取り戻す可能性は70%となっている。

 ベテラン議員の中には、落選して議会を去ることをよしとせず、自ら引退を表明する人がいる。こうした議員の数は、選挙結果を占う材料となる。

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