2018年に始まった米中の貿易戦争が両国経済に与えた影響が明らかになってきた。関税の負担は米国のほうが大きいが中国側にも悪影響があり、結局、両国共に敗者となった。ただ一つ建設的な面は、供給網の分散化を考える機会を米国企業が得られたことだ。

<span class="fontBold">「第1段階の合意」に署名する中国の劉鶴副首相(左)とトランプ米大統領(当時)</span>(写真=UPI/アフロ)
「第1段階の合意」に署名する中国の劉鶴副首相(左)とトランプ米大統領(当時)(写真=UPI/アフロ)

 米中貿易交渉の「第1段階の合意」に基づく2年間が2021年末に終了した。米国も中国も、この節目に取り立てて言及する様子はない。両国の対立は依然として激しい。最新の火種は、新疆ウイグル自治区の強制労働で生産された製品の輸入を禁止する法律を米国が成立させたことだ。

 この節目の時は、米中貿易戦争が両国経済に何をもたらしたのか、現状を確認するのに良い機会だろう。結論を言うと、最初から一貫して、両国にとってマイナス面が大きかった。ただし、重要なプラス面が1つだけだけある。

 まず、最も明らかな誤算から見ていこう。中国は20年1月15日に署名した第1段階の合意で、20~21年に米国からの財とサービスの輸入を17年より2000億ドル増やすと約束した。米国はかねて、中国が経済に操作を加えていると不満を表明していたが、この合意では貿易量を操作するよう中国に要求した。

中国は約束を果たせず

 しかし実際のところ、中国の役人にはこの約束を果たす意欲も力もなかった。米ピーターソン国際経済研究所のチャド・バウン氏がまとめたデータによると、中国の財輸入額は目標の10分の1にすぎない。新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的流行)による混乱があったとはいえ、米国が中国に対して行った米国産品の輸入を増やせという威嚇戦略は、惨めな結果に終わったと言える。

 より広く言うなら、米中貿易戦争は、両国経済を共に傷つけた。そのことを示す研究が増え続けている。

 両大国が関税を武器に互いを攻撃し始めたのは18年の初期だった。そのため、経済学者たちは新型コロナの影響が出る前の丸2年分の数字を解析することができる。この期間に米国が中国からの輸入に課す関税は平均3%から19%に急上昇した。中国が米国からの輸入に課す関税も平均8%から21%に増加した。

 この関税引き上げは、2国間貿易として世界最大の米中貿易関係に、これ以上ないほど大きな影響をもたらした。米プリンストン大学のパブロ・ファヘルバウム氏と米コロンビア大学のアミット・カンデルワル氏の計算によると、米中の関税が適用されることになった米国の貿易額の対GDP(国内総生産)比は、悪名高い1930年のスムート・ホーリー関税法の際よりも大きいという。同関税法は国際的に報復関税の波を引き起こし、それが世界大恐慌を悪化させたと指摘されている。