ドローンが新たな進化を遂げようとしている。空飛ぶカメラから空飛ぶコンピューターに変わる。キーワードは自律、ネットワーク化、アルゴリズム、バッテリーだ。機能向上の肝はソフトが握る。米国企業が、中国など他国の企業より競争力を高める可能性が高い。

 米シールドAIは防衛装備品を手掛けるスタートアップだ。米サンディエゴに本拠を置く。いかなる人の手も借りることなくドローンを飛ばすソフトウエアを設計している。

 同社のソフト「ハイブマインド」は「全地球測位システム(GPS)を使わず、コミュニケーションすることもなくドローンを建物内に侵入させることができる。敵の通信妨害を気にする必要がない。よって、兵士に先んじて建物の中をくまなく調べられる」。シールドAIの共同設立者、ブランドン・ツェン氏はこう語る。

 「これは極めて大きな付加価値だ」(同氏)。法の執行から緊急事態への対処、軍事目的まで、あらゆる分野においてドローンの新たな利用を広げるからだ。同氏は、配送をはじめとするあらゆる商用途のドローンに同社のソフトが搭載される日が来るかもしれないと期待する。

 今、何十という企業がドローンの利用法を一変させようとしている。思い通りに空を飛ばすことができる全自動カメラから自律飛行するコンピューターへと変身させるべくしのぎを削る。これらのドローンは編隊を組み、データをクラウドに直接伝送することができる。シールドAIはこうした企業の一社にすぎない。

 ドローンの設計や電池の寿命は飛躍的な進歩を遂げた。だが、真のイノベーションが起きるのはハードウエアではなくコンピューター能力においてだ。

つながることで力を発揮

<span class="fontBold">つながることで、ドローンの用途は新たなフェーズに入る</span>(写真=AFP/アフロ)
つながることで、ドローンの用途は新たなフェーズに入る(写真=AFP/アフロ)

 米モーダルAIが集計中のデータによれば、ドローンに最新のソフトや人工知能(AI)を搭載すべく競っている米国のスタートアップはおよそ65社に上る。モーダルAIは米半導体メーカーのクアルコムから分社化した企業で、ドローンを開発する企業に様々な技術を提供している。

 ドローン向けにオープンソース・ソフトウエア・プラットフォームを開発するオーテリオンのロレンツ・マイヤーCEO(最高経営責任者)によれば、ドローン市場は今まさに革新の時を迎えている。その規模は2020年134億ドルに達した。

 マイヤー氏は「この市場はコンピューター市場に少し似ている。1970年代のコンピューターは興味深い存在ではあったが建物の中で税務処理に使われるだけだった。だがコンピューターが相互につながるようになると、我々の生活を一変させた。ドローンがネットワークでつながり始めれば、その利用法は根本的に変化するだろう」と指摘する。

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