バイデン米政権は北朝鮮に対して、前提条件なしでの話し合いに応じる姿勢をみせている。しかし具体的な提案はなく、首脳級会談も行わず、「無策の策」との指摘もある。韓国では、保守派と進歩派とを問わず、トランプ政権時代の積極策を懐かしむ声が上がる。

<span class="fontBold">トランプ米大統領(当時)は対北朝鮮政策を大転換し、米朝首脳会談に臨んだ</span>(写真=ロイター/アフロ)
トランプ米大統領(当時)は対北朝鮮政策を大転換し、米朝首脳会談に臨んだ(写真=ロイター/アフロ)

 米国のジョー・バイデン大統領は、対北朝鮮外交において突破口を見いだそうとする意欲に欠けている。韓国ではドナルド・トランプ大統領(当時)による派手な首脳会談を懐かしむ声が上がる。

 バイデン政権は北朝鮮に対して「緻密かつ現実的なアプローチ」を取り、北朝鮮側に応じる気さえあれば前提条件なしで外交交渉をする意志があると表明している。

 しかし、米韓の専門家は次のように指摘する。「具体的な提案を避け、首脳級会談を行おうとしない米国の姿勢からは、北朝鮮問題を解決するというよりも、うまく対処すればよいとの意識が透ける」

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記(編集部注:以下、肩書は「総書記」に統一)がミサイルや核の開発計画を強化しているにもかかわらず、米国の動きは消極的だ。

 「バイデン政権の北朝鮮政策は、自らそうは言わないだろうが、実際にはある種の無策の策だ」。米ワシントンDCにあるシンクタンク、米ウィルソン・センターのスー・ミ・テリー氏はこう指摘する。同氏は同センターの朝鮮史・公共政策部門責任者。米中央情報局(CIA)で朝鮮半島担当分析官として働いた経験を持つ。

 同氏は「バイデン政権はもはや劇的な進展は期待していないようにみえる。その理由もよく理解できる」と続け、米国の注意が中国に向いていることを指摘した。

次ページ 北朝鮮に消極的なバイデン氏