新型コロナウイルスは変異するため、世界にワクチン未接種者が一定数いる限り、コロナとの闘いは収束しない。それゆえワクチン供給体制に課題を抱える途上国への支援は、世界各国における自己防衛の観点からも重要だ。来月開催予定のG20では問題解決に向けたロードマップが提示される予定だ。先進諸国は真摯な対応が求められる。

<span class="fontBold">アフリカ、ナイジェリアでのモデルナ製ワクチン接種の様子</span>(写真=AP/アフロ)
アフリカ、ナイジェリアでのモデルナ製ワクチン接種の様子(写真=AP/アフロ)

 この数週間、米国の投資家は新型コロナウイルス感染症をめぐる新たな不安材料に頭を悩ませている。インド由来の変異株、デルタ株が感染拡大しているが、どの地域にもいまだにワクチン接種に抵抗を示す動きが残っている。バイデン政権が約束通りに今秋、3回目の追加接種を開始できるかについての懸念も高まっている。

 これだけでも厄介な状況だ。しかし投資家たちは、米国政府のワクチン計画の行方を見極めるだけでなく、低所得国におけるワクチン供給をめぐる一連の問題にも目を向けるべきだ。

 新型コロナのパンデミック(世界的大流行)が始まって1年半、ワクチン接種率の世界格差が鮮明になっている。欧州、北米の大部分では、人口の約3分の2がすでにワクチンを接種している(ただし米国は未達成)。日本では人口の半分、インドでは人口の8分の1がそれぞれ接種済みだ。

途上国の配送コストは6倍

 だがアフリカでは、ほとんどの国において接種率が人口の10分の1にも満たない。中には1%未満の国もある。原因の一つは、知られているようにワクチン供給格差だ。ワクチンを共同購入し途上国などに分配する国際的な枠組み「COVAX(コバックス)」などが努力しているが、うまくいくことばかりではない状況だ。

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