米消費者の購買意欲を示す消費者信頼感指数は低下傾向にあるも、米小売り各社は消費の手応えを感じている。デルタ株感染拡大にもかかわらず実店舗を訪れる顧客も少なくなく、日用品やイベント用品、学用品が売れている。消費者のインフレ懸念や、サプライチェーンの課題といった点が、デルタ株以上に消費の重しになるかもしれない。

<span class="fontBold">「子ども手当」の効果もあって、実店舗では学用品を買い求める動きが高まった</span>(写真=Brandon Bell/Getty Images)
「子ども手当」の効果もあって、実店舗では学用品を買い求める動きが高まった(写真=Brandon Bell/Getty Images)

 米ミシガン大学が調査を手掛ける個人消費の先行指標、ミシガン大学消費者信頼感指数はここ数週間、驚くほど低下している。だが、今のところ米国内の小売企業の経営陣たちはこうした実感がないようだ。投資家は、新型コロナウイルスの変異株であるデルタ株によって景気回復への動きが鈍ることを懸念しており、デルタ株による感染拡大の行方を注意深く見守っている。経済協力開発機構(OECD)は、他国で消費者信頼感指数が上昇傾向にあるのに対し、米国では陰りも見えつつあるとの見方を示す。

 それでも米国の主な大手小売業者のいくつかは、8月中旬の決算発表で強気の姿勢を示した。第1波のパンデミック(世界的大流行)危機で最も影響を受けたレストランや旅行業界でさえ、最近の予約減少の原因がデルタ株にあると決め付けることに対して慎重だ。

 彼らが懸念材料として挙げたのは、インフレが米国人の買い物や外食、旅行への意欲をそぐ恐れがあることだった。加えて1年で最も重要な秋以降のホリデーシーズンを前にサプライチェーンの課題を指摘する経営者もあった。

 以下、各企業の担当者が決算会見で明らかにした、最近の消費動向をいくつか挙げてみたい。

 米国における7月の小売売上高は前月比1.1%減となったが、主な要因は自動車販売の落ち込みだ。対照的に、米小売り最大手のウォルマートと米ターゲット、ホームセンター大手の米ロウズは、5~7月の売り上げが予想を上回ったことを受け、そろって通期業績予想を引き上げた。トイレットペーパーと衛生用品の需要は、2020年の買いだめの反動で冷え込んだが、それ以外の幅広い製品で需要が伸びた。

 ウォルマートではパーティー用品、アパレル、旅行用品が商品棚からあっという間に姿を消した。米ホームセンター最大手ホーム・デポでは、販売開始直後のハロウィーン装飾品が完売となった。またターゲットでは水着と子供服が人気だった。1年のオンラインショッピング生活を経て、多くの買い物客がウォルマートとターゲットの実店舗に戻ってきたのは消費者信頼感指数が上昇する兆しだろう。

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