今年1月に米連邦議会占拠事件が起こった当初、米共和党の幹部たちはトランプ氏を非難した。だがその後、多くの者は再びトランプ氏にすり寄り、事件を正当化しようとしている。一番の問題は、間違った方向に気づきながら自分の都合でそれを容認している共和党議員たちだ。

<span class="fontBold">公聴会に出席するリズ・チェイニー下院議員(左)</span>(写真=代表撮影/ロイター/アフロ)
公聴会に出席するリズ・チェイニー下院議員(左)(写真=代表撮影/ロイター/アフロ)

 米国の前大統領ドナルド・トランプ氏は、生きている限り必ずや2024年の大統領選挙に再出馬するだろう。

 トランプ氏は、自身のビジネスに関してはもはや「倒産さえしなければよい」と思うようになっている。彼の野心は昔とすっかり変わってしまった。だが筆者が再出馬を確信したのはこうしたトランプ氏の態度が理由ではない。共和党が一致団結してトランプ氏を担ぎ上げる「独裁制」へと向かっているからだ。

 共和党という政党にとっては、今やトランプ氏の言葉だけが唯一の「真実」だ。彼が何を言おうと、以前と違うことを言い出そうとも、それが彼らにとっての真実になる。

 トランプ氏がいまだに共和党内で支配力を持つことが明らかになったのは、7月下旬に開かれた、今年1月6日の米連邦議会占拠事件を調査する下院特別委員会の公聴会でのことだ。

 1月の事件以降、共和党がいかに変わってしまったかは強調に値する。当初、共和党の指導者たちは皆、暴動を非難した。事件当時、議会ではジョー・バイデン新大統領の当選を認定する手続きが進められていた。暴動は、この手続きを中止させ、マイク・ペンス副大統領(当時)を含む議事進行役を混乱させる意図があった。この時の共和党指導者たちの非難は、けっして見せかけのポーズには見えなかった。

 だが2週間後、彼らの態度は豹変(ひょうへん)する。トランプ氏はもはや大統領ではないのだから、米国はあえて事を荒立てるべきではない、と言い始めたのだ。暴徒の中でも特にひどい者たちの処分を法に任せればよい、と。

 その後、彼らの考えはまた大きく変化し、陰謀論をあおり立てるようになった。連邦議会の襲撃は、共和党の名を汚す目的で、ブラック・ライブズ・マター(BLM=黒人の命は大切だ)運動を推進する左派が米連邦捜査局(FBI)の協力のもと、暴徒に紛れ込み、扇動したものだと言い始めたのだ。

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