ロシアのプーチン大統領は大規模な国際会議を開催し、そのコロナ対策が優れていることをアピールした。だが、現実は厳しい。ワクチン接種率は約20%にとどまり、感染拡大が続く。国民が政府を信頼していないからだ。政府は不人気なロックダウンを避け、同大統領はロシア製ワクチンの接種をためらった。

ロシアのワクチン接種率は20%ほどにとどまる(写真=AFP/アフロ)

 ロシア政府はこの1年間、新型コロナウイルス感染症との戦いに勝利したと吹聴してきた。ロックダウン(都市封鎖)を避け、国産ワクチン「スプートニクV」を褒めたたえた。

 ウラジーミル・プーチン大統領は6月2~5日に開催したサンクトペテルブルク国際経済フォーラムで、数千人の参加者を前に「特段の感染拡大リスクを冒すことなくこのようなイベントを開催できるのはロシアの現状があってこそだ」と豪語した。ロシアは、このフォーラムは新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)が起きて以降開かれる世界最大の国際会議だと主張している。

 実際には、この会議に至るまでの数週間、ロシアの医師たちは感染者と死亡者の驚くべき増加を記録していた。それから1カ月がたった今、ロシアは第3波のさなかにある。状況はこれまでになく深刻で、パンデミックのどの時期よりも多くの人が日々命を落としている。

ワクチンを最初に認可したが

 1日の新規感染者数は現在およそ2万5000人(英国をいくらか下回る水準)で、その数は増え続けている。過去1週間の死亡者数に目を向けると、英国は1日当たり平均18人なのに対し、ロシアでは670人に上る。

 有効なワクチンを世界で初めて認可したのがロシアであることを考えると、英国との差はなおさら衝撃的だ。ロシアは、英アストラゼネカ製ワクチンと同じ方法で開発され、同様の効果があるとされる国産ワクチンを承認した。

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