仮想通貨交換業の世界大手、バイナンスが無許可営業を理由に、英国などから事業撤退を迫られている。大手金融機関が仮想通貨を保有し始めたことで、世界の金融当局による事業者への規制は強まる一方だ。従前からの利用者は嫌がるだろうが、規制強化は仮想通貨ビジネスのさらなる発展・成長につながるとの見方もある。

<span class="fontBold">英金融当局はバイナンス英法人に無許可営業禁止を通知した</span>(写真=ロイター/アフロ)
英金融当局はバイナンス英法人に無許可営業禁止を通知した(写真=ロイター/アフロ)

 ビットコインで大もうけしても、取引口座が使い物にならなかったら何の意味があるのか? 暗号資産(仮想通貨)交換業世界大手、バイナンスの利用者は、英国にある自分の決済システム口座が突然遮断されたことで、こんな疑問に直面しているに違いない。

 英国の金融監督当局、金融行為監督機構(FCA) が、バイナンスの英国部門バイナンス・マーケッツに対して金融規制が適用されるすべての事業活動の禁止を命じたのは6月26日だった。ほどなくして同社は、銀行口座とバイナンス間でポンドを出し入れする手段「ファスター・ペイメンツ」を経由した利用者のポンド引き出しを停止した。銀行カードによるポンド決済も止まった。後日、バイナンスはFCAによる禁止通告は同社サービスに影響を与えておらず、一部は復旧していると主張している。

 保有する資産を他の交換所などのプラットフォームに移すことは現在でも可能だ。だが突然の停止は、規制に縛られてこなかった仮想通貨業界が抱える重要な問題を浮き彫りにしている。

 ビットコインを法定通貨として使用している国は、エルサルバドル以外にない。米テスラを率いるイーロン・マスク氏でさえ、ビットコインでの支払いを可能とする計画を中止した。仮想通貨の保有者は、法定通貨以外に換金できる他の手段を見つけなければならなくなっている。

 法定通貨に換金されなければ、規制は逃れられるのか? 問題はそうではない。何十年にもわたってマネーロンダリング(資金洗浄) やテロ資金の対策を講じてきた規制当局にとって、監視が及ばない仮想通貨交換所に匿名の資金があふれるのは望ましい動きではない。ビットコインやそれと競合する仮想通貨が持つ匿名性が、サイバー犯罪者や脱税者にとってありがたいのは明らかだ。

9割の事業者が登録取り下げ

 米フェイスブック は2019年、デジタル通貨「リブラ」によって世界の決済システムに革命を起こすという計画を発表した。だがこの件は結果的に、仮想通貨事業を拡大させようとすると、どんな揺り戻しがあり得るのか、世界に知らしめる先例となってしまった。

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